科目名 地球環境論
単位数 2.0
担当者 情報科学研究科 情報工学専攻 准教授 田中 公一   国際学部 講師 目黒 紀夫
履修時期 前期
履修対象 1年
概要 授業形態(講義)
前半(田中担当)では、地球環境の成り立ちを、地球熱収支、大気循環、水循環、気候帯形成など、現在の環境条件を形成する要因をもとに、自然科学の立場から解説する。次にオゾン層破壊、地球温暖化、酸性雨等の地球規模環境問題の発生メカニズム、現状、影響、対策などを解説する。
後半(目黒担当)では、地球環境を守ろうとする取り組みが「現場」でいかなる「問題」を引き起こしていて、どのように「解決」を考えることができるのかを、人文社会科学の枠組みとフィールドワークの成果をもとに検討する。
科目の到達目標 地球規模環境問題は,地上の生命すべてに取り返しのつかない害を与えようとしている。最近の科学知識をもってしても,その影響に関する将来予想は難しいが、原因は人間の産業経済活動であることは言うまでも無い。自然のメカニズムの知識をもとに地球環境を守る意義を理解する。(以上は前半の田中担当)
地球環境「問題」の望ましい「解決」とは、人や組織、社会、時代などによって変わりうるものであることを理解し、具体的な「現場」にもとづいて「問題」を考えていくための基本的な枠組みを習得する。(以上は後半の目黒担当)
受講要件 特になし。
事前・事後学修の内容 (田中)地球環境問題は新聞等でも取り上げられているので、それらを積極的に読み、知識を広げておいてください。
(目黒)各回の講義のなかで関係する図書や資料、ウェブサイトを紹介するので試験までに各自の興味関心にもとづいて学習をしておいてください。
講義内容 第1回(田中)地球環境問題について:地球規模で人間を取り巻く自然環境が大きく変化している。この環境問題は、以前われわれが経験した局地的な地域規模の環境問題(水俣病や四日市喘息など)に比べて、規模の広がりとともに問題の解決が難しくなっている。地球規模で自然の営みがどのようにして人間の営みにより損なわれていくのかを、自然科学の立場から概説する。
第2回(田中)地球環境の成り立ち(1):地球環境問題を論ずるには、まず現在の地球環境を形成する上で重要な事項を整理する必要がある。ここでは,現在の地球環境を理解する上で重要な(1)太陽と(2)大気、(3)水について概説し、地球の熱収支、大気循環、水循環や気候帯の形成のメカニズムを解説する。
第3回(田中)地球環境の成り立ち(2):引き続き、(4)大地、(5)生物、(6)地球の物理的性質について述べ,生命で満ち溢れた現在の地球環境の成り立ちを解説する。
第4回(田中)オゾン層破壊:フロン等を原因物質とした成層圏オゾン破壊が、南極のオゾンホールの発見をきっかけとして現実の問題として認識され、オゾン層破壊物質の具体的な規制が始まった。その歴史を振り返りながら、オゾン層破壊のメカニズム、対策、現状を概説する。
第5回(田中)地球温暖化:地球の平均気温は過去100年間で,約0.8℃上昇した。世界各地で起こる干ばつ、大雨など異常気象は、この地球温暖化によりもたらされているとの指摘がある。地球温暖化はどのようにして起こるのか、またその影響について概説する。
第6回(田中)地球温暖化とエネルギー問題:ロシアの批准により地球温暖化防止京都議定書が発効した。地球温暖化を防ぐにはどうしたらよいのか、エネルギー問題と関連づけてその対策を概説する。
第7回(田中)酸性雨と大気汚染:現在、酸性雨は国際的な問題に発展し、早急な対策が求められている。酸性雨とは何か、またその歴史、被害、対策を大気汚染とともに概説する。
第8回(目黒)地球環境問題をめぐる言葉と価値の問題:後半のイントロダクションとして、自然「保護」や環境「保全」、自然資源「管理」といった言葉の意味の違いを説明しながら、自然や環境の「守り方」の歴史的な変化を説明する。
第9回(目黒)東南アジアの熱帯林保全:森林破壊の元凶といわれた焼畑農耕の実態と大規模な森林開発にともなう地域の社会と景観の変容過程を説明する
第10回(目黒)アフリカの野生動物保全:生態的にも経済的にも持続的な方法だということで国際的に注目を集めているスポーツハンティングの是非を検討する。
第11回(目黒)アマゾンの生物多様性保全:貴重な森とそこに暮らす先住民の両方を守る方策として最近試みられているコミュニティビジネスの事例を紹介する
第12回(目黒)日本の里山保全:人間の手が入ることで豊かさを保ってきた二次的自然として世界的に評価されるようになっている日本の里山の現状を考える。
第13回(目黒)日本の公害:四大公害の筆頭にして国際条約の名前にもなっている水俣病が、公式確認から60年後の現在どのような状況にあるのかを説明する。
第14回(目黒)国際社会における環境ガヴァナンス:国際的な会議の場でどのように議論が戦わされ合意や取り決めが作られるのかを複数の事例で説明する。
第15回(目黒)後半のふりかえりとまとめ:授業の後半で取り上げた「問題」をふりかえりながら人間と自然環境との関係についてのこれまでの議論をまとめる。
評価方法 期末試験の成績に基づき履修規定の基準にしたがって評価する。
教科書等 参考書:(田中)松信八十男著「地球環境論入門」(サイエンス社)
参考書:(目黒)鬼頭秀一著『自然保護を問いなおす―環境倫理とネットワーク』(ちくま新書)
担当者プロフィール (田中) 情報科学研究科、情報工学専攻に所属し、センサ材料の特性やセンサから得られる情報の高速処理について研究を行っています。さらに、2011年から情報通信の妨げとなる地球周辺部の磁気の異常に関して、インドとの国際共同研究にも参加しています。授業内容や宿題などに関する、学生の個別学習相談を随時受け付けています。教員の所在は、学内サイネージ等に掲示されていますので、確認の上、研究室を訪ねてみてください。
(目黒) 専門は環境社会学とアフリカ地域研究。2005年より東アフリカのケニアとタンザニアで野生動物保全と地域社会変容にかんする現地調査を実施。
備考