科目名 国際社会論Ⅱ
単位数 2.0
担当者 教授 湯浅 正恵
履修時期 後期
履修対象 2年次
概要 2015年、トルコの海岸にうち上げられた3歳の男の子の写真は世界に衝撃を与えました。紛争を逃れるための命がけの脱出で、2015年だけで3600人が地中海で命を落とし、幸運にもなんとか海を渡った人たちも、それまで想像すらしなかった苦難の日々を難民として生きています。また一方で人口1000人あたり200人以上の難民受入れを余儀なくされているレバノンでは、都市のインフラは流入人口に対応できず一般住民の生活にも深刻な影響を及ぼしています。難民の急増は人道的問題のみならず、経済、政治的問題となり既存の国民国家システムを根底から揺さぶっています。
 国際社会論I で学んだ「テロ」と「テロとの戦い」が状況悪化の重要な要因であることに疑いはありませんが、人びとは紛争のみで住み慣れた故郷を追われるわけではありません。2014年末までに6000万人が紛争や迫害、人権弾圧で出国しましたが、その他、深刻な貧困、飢餓や環境災害で出国を考えている人はさらに1000万人から1億人に上ると言われています。
 国際社会論 IIでは、難民をテーマに演習と講義をあわせた形式で学びます。まずは難民問題の概略を講義形式で学び、世界各地の「難民」の現状をグループに分かれて調べ発表します。そして授業の後半では、現在の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)につながる難民体制の歴史を学び、改めて近代国家の「主権」や「ナショナリズム」について再考し、日本に住む私たちができることを考えます。
科目の到達目標 私たちの日常生活から現代の国際関係やグローバル化を考える視点をみつけます。
受講要件 本講義の理解をより深めるために全学科目の社会学、国際社会論Iもできれば受講ください。
英語の文献も使います。
事前・事後学修の内容 グループ・ワークでは授業外での準備が必要です。
講義内容 1 イントロ
2 映画からみる難民
3 難民の定義と世界の難民の概況
4 難民送出要因としての貧困、飢餓、環境破壊と紛争
5・6 世界各地の難民を調べてみる(グループ・ワーク)
7 国民国家と難民
8 国民国家のグローバル化と難民
9・10 世界難民体制の誕生 
11 冷戦下の難民体制  
12 冷戦後の難民体制
13 日本の難民
14 グループワーク
15 近代の帰結としての難民:国民国家、主権、ナショナリズム再考


*受講生の人数と授業の進み具合によって内容を変更する場合があります。
評価方法 グループワークや課題などの平常点(60%)と期末レポート(40%)で評価します。
教科書等 参考書:Elena Fiddian et al. (eds.) 2014, The Oxford Handbook of Refugee and Forced Migration Studies. Oxford University Press.
Emma Haddad, 2008, The Refugee in International Society: Between Sovereigns.Cambridge University Press.
Peter Gatrell, 2015, The Making of the Modern Refugee. Oxford University Press.
関西学院大額災害復興制度研究所・福島の子どもたちを守る法律化ネットワーク編 2015『原発避難白書』人文書院.
見田宗介, 2006,『社会学入門』岩波新書.
ハンナ・アーレント, 『人間の条件』ちくま学芸文庫.
ジャン=リュック・ナンシー, 2014,『フクシマの後で』以文社.
担当者プロフィール 大学では心理学を学び、大学院では学際的な国際学を志しました。なによりも現代社会に生きる一人として、理論を用い自らの現場に光をあて、見て、感じて、他者との共同的実践に結び付けていく、そのような勉強を皆さんと一緒にやっていきたいと考えています。
備考