科目名 油絵材料・技法演習(古典技法)
単位数 2.0
担当者 非常勤講師 赤木 範陸
履修時期 後期
履修対象 2年次
概要 ヨーロッパが,過去数百年の蓄積があって近・現代の芸術に到達したことを考えると、西洋の古い系譜を持たない日本が明治期に如何に器用に西洋画を受容したとしてもその足場はいまだに危うい。数世紀の伝統と知見に裏打ちされた古典絵画技法(ここでは金地テンペラ)で実際に作品として再現することで、かつては工房の秘密であった絵画技法を合理的に理解し、感覚のみを拠り所としない知と理に裏打ちされた制作を試みる。
【授業形態:演習】
科目の到達目標 古典絵画技法を合理的に理解し、自らの作品に多角的に応用する。
受講要件 特になし。
事前・事後学修の内容 文献や美術館等において古典絵画技法についての予備知識を深めておくこと。
講義内容 第1回:シナ合板パネル(F4号、テストピース)にサイジング(前膠塗り)、乾燥を待つ間にオリエンテーション(金箔地及び卵黄テンペラの科学的・物理的性質、演習全体の流れ)、前膠乾燥後に麻布貼り。完成後、乾燥させる。
第2回:ゲッソグロッソ層の後、ゲッソソチーレ層の製作。完成後、乾燥させる。
第3回:(模写の為の)作品を選定する。テストピースに制作(鍍金後に卵黄テンペラで描く)する為の小品のデッサンをする。
第4回:F4号とテストピースの石膏地を削り鋼パネルで平滑に削り、石膏地を完成させる。
第5回:金箔地制作(テストピース):ボルス塗り、空磨きの後に金箔うち、瑪瑙棒による磨き上げまでの一連の鍍金の手順を通す。
第6回:F4号の石膏地上に選定した図版を転写素描し、転写素描の輪郭部を中心にニードルで線刻する。
第7回:テストピースに第3回で描いたデッサンをもとに卵黄テンペラで描画する(卵黄テンペラメディウムの作製、)。
第8回:F4号の描画部以外にボルスを塗り、空磨きをかける。(可能な場合は鍍金をする。翌日にまわすために室に入れる)
第9回:F4号に鍍金する。(翌日にまわす場合は室に入れる)
第10回:鍍金を完成させる。(完成せず、翌日にまわす場合は室に入れる)
第11回:制作−制作開始−卵黄テンペラによる顔部以外の衣服部、頭部の制作。(卵黄テンペラの三諧調グラデーションによる描画)
第12回:衣服部や頭部の描画を完成させる。
第13回:顔の制作−下層描きの陰影部をヴェルダッチョにより施し、ヴェルデテラ(緑度)による下層描き完成を完成させ、上層描きをヴァーミリオンの三諧調グラデーションとイエローオーカーの三諧調グラデーションにより施す。
第14回:ヴェルダッチオによる暗部の再描きいれと全体の調整をする。
第15回:完成へ向けてディテールの描き入れやスグラッフィートによる調整をしたのち、各自のプレゼンテーションに加え講評をする。
評価方法 受講態度、作品の完成度(技術的な習熟度)、及び発表(作品のプレゼンテーション)姿勢に対する加重平均による評価
教科書等 オリジナルテキスト(横浜国立大学紀要より抜粋)
「芸術の書」チェンニーノ・チェンニーニ(中村彝訳/石原靖夫・望月一史訳)
担当者プロフィール 1988年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、1990年東京藝術大学大学院博士前期課程修了1990年DAAD(ドイツ学術交流会)により国費留学生として渡独、1996年ミュンヘン国立芸術大学(Akademie der Bildenden Künste, München)教会芸術研究室修了(Diplom M.A./Meisterschülerの称号授与)横浜国立大学教授
備考 第一週目は数人のグループにより共同で作業するので欠席しないこと。欠席しても個別に材料の用意や指導は行なわないので次年度の再履修となる。
最履修の場合でも教材費はその都度の支払いになる。