科目名 現代思想Ⅱ
単位数 2.0
担当者 准教授 柿木伸之
履修時期 後期
履修対象 博士前期課程1、2年
概要 広島への原子爆弾の投下から70年目の年を迎える今、被爆の記憶を未来へ向けて、世界的なものとして受け継ぐことは喫緊の課題です。ただし、そのとき被爆に至るまでの戦争の歴史を看過することはできません。被爆の記憶を、「唯一の被爆国」の歴史の常套句に囚われることなく掘り起こすならば、その記憶を継承することが、「軍都」として帝国日本の拠点をなしていた広島の歴史を、当時のアジアの状況を視野に入れて捉え返すことと不可分であることが見通されるはずです。むろん、それは容易なことではありませんし、そのためには、戦後の歴史の物語、そこにある忘却とも対峙しなければならないでしょう。今年度の「現代思想II」は、このような視野を持って、被爆の記憶を、とくにアジアにおける暴力の歴史の記憶と呼応させながら、両者を分有していく回路を探る議論の場にしたいと考えています。そのためにいくつかの論考を検討することにします。テクスト講読の演習のほか、受講者それぞれに各自の問題意識を発表してもらい、それを受講者全員で共有しながら思想的に深化させる場も設けることにしたいと思います。
科目の到達目標 受講者が思想的内容を含んだテクストを、現在の状況とそれが突きつける問題に当てはめながら解読できるようになることがねらいです。
受講要件 テクストとそのテーマに関心があり、考えることへの熱意のある方であれば、どなたでも受講を歓迎します。
事前・事後学修の内容 扱われるテクストを自分なりに読んで、問題意識をもって講読演習に臨んでください。また、ディスカッションにも積極的に参加してください。報告を担当する際には、テクストの議論の内容などを受講者で共有できるよう、ベストを尽くしてください。
講義内容 テクストの演習形式の講読と受講者の報告を交えながら進めていきます。受講者と相談のうえで具体的なスケジュールを決めます。
評価方法 演習における報告とディスカッションへの参加を総合して評価します。
教科書等 教科書は用いません。現在のところ、「東亜協同体」に関わる三木清の論文や同時代の思想家の論文を選んで講読することを考えています。実際に講読するテクストは、受講者と相談のうえで決定します。その他参考文献などは随時紹介します。
担当者プロフィール 研究の専門領域は、近・現代ドイツの哲学と美学。現在はとくに、20世紀前半に思想家として、批評家として、また類いまれなエッセイ
ストとしても活躍したヴァルター・ベンヤミンの哲学的思考に強い関心を持って取り組んでいます。著書に、『ベンヤミンの言語哲学──
翻訳としての言語、想起からの歴史』(平凡社、2014年)、『パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ──ヒロシマを想起する思考』(イ
ンパクト出版会、2015年)などがあります。翻訳書に、細川俊夫『細川俊夫 音楽を語る──静寂と音響、影と光』(アルテスパブリッシング、2016年)があります。
備考