科目名 | 平和学 | ||
単位数 | 2.0 | ||
担当者 | 吉川 元 | ||
履修時期 | 後期 | ||
履修対象 | 特に指定なし | ||
講義形態 | 講義 | ||
講義の目的 | 国際平和安全保障安全保障は両立しうるのか。20世紀初頭から今日に至るまでの国際平和と人間の安全保障の実現に向けた国際社会の取組みについて講義します。難民は1億人に達し、世界各地で自由化や民主化は後退しています。特に核戦争の危険を伴うロシア・プーチンの戦争は、予断を許しません。東アジアの国際関係は過去、最も緊張しています。世界はどれだけ平和になったのでしょうか。人々はどれだけ安全になったのでしょうか。国際社会の平和への取り組み、および人間の安全保障とその諸問題の分析を通して、今日の平和の脆き構造とその危機の構造を探ります。 | ||
到達目標 | 戦争と平和の歴史をたどりつつ、平和観と安全保障観の変容について知識を習得するとともに、平和観と人間の安全保障観の変容が国際関係の仕組みや国際政治システムの変容に与えた影響について理解を深める。 | ||
受講要件 | 特になし | ||
履修取消の可否 | 可 | ||
履修取消不可の理由 | |||
事前・事後学修 | テキストを事前に読み、質問を用意する。 | ||
講義内容 |
国際平和秩序は、誰が、いつ、どのように確立するのでしょうか。戦争は無条件に否定されねばなりません。だからといって平和は必ずしも人間の安全を保障するとは限りません。国際関係の歴史を一瞥すれば、平和というものはそのあり方しだいで人間の安全を脅かしてきたことも明らかです。20世紀初頭から今日に至るおよそ百年間に、時の権力者(統治者)による民衆殺戮(人民の大量殺戮)の犠牲者数が戦争の犠牲者数を上回っている事実は、平和が必ずしも人間の安全を保障するとは限らないことを意味しています。平和とは一体、誰のためのものでしょうか。安全保障とは一体、誰の、何の安全の保障なのでしょうか。こうした疑問を紐解くために20世紀から今日に至るまでの戦争様式の変化、国際平和秩序の変容、安全保障概念の変容について、その歴史をたどります。同時に、戦争原因を国際政治システムに内在する矛盾のみならず、統治システム(ガバナンス)に内在する矛盾にも見出し、また民衆殺戮の原因をガバナンスと国際政治の相互作用に見出し、国際平和と人間の安全保障の双方の実現を目指す平和創造の方法について考察します。 【授業内容】 1. 平和とは何か、誰のための安全保障か(序論) 2. アナーキカル社会の組織化 3. 第一次世界大戦と立憲主義的国際秩序 4. 平和主義の1920年代 5. 危機の1930年代 6. 第二次世界大戦と民族強制移動 7. 戦争の裁きと平和秩序の再編 8. 欺かれた人権尊重の平和 9. 帝国主義の終焉と人民の戦争 10. 人民を抑圧する人民の政府の論理 11. 人間の安全を脅かす平和秩序 12. 新戦争とアイデンティティ政治 13. 民主化と民族紛争 14. 再びガバナンスを問い始めた国際社会 15. 安全保障共同体の創造に向けて |
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期末試験実施の有無 | 実施しない | ||
評価方法・基準 |
講義での積極的な発言(60%) 特別課題(レポート)(40%) |
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教科書等 |
【教科書】吉川元『国際平和とは何か―人間の安全を脅かす平和秩序の逆説』(中央公論新社、2015年)。 【主要参考文献】吉川元「グローバル化と安全保障パラダイム転換」初瀬龍平・松田哲編『人間存在に国際関係論』(法政大学出版局、2015年);吉川元『民族自決の果てに』(有信堂、2009年)を参照してください。 |
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担当者プロフィール | |||
講義に関連する実務経験 | |||
課題や試験に対するフィードバック | 火曜日4時限を面談・問い合わせ時間(office hour)とします。質問等、自由に連絡を下さい。 | ||
アクティブ・ラーニング | |||
キーワード | 国際平和、人間の安全保障、アイデンティティ政治、安全保障共同体、ジェノサイド、民衆殺戮、民族マイノリティ | ||
備考 |