科目名 日本国憲法と平和主義
単位数 2.0
担当者 河上暁弘(広島市立大学広島平和研究所准教授)
履修時期 前期
履修対象 博士前期課程1・2年
講義形態 演習
講義の目的 1947年5月3日に施行された日本国憲法では、前文において平和的生存権の保障を規定し、第9条において、戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認を規定している。本科目では、日本国憲法の平和主義をめぐる理論的・実際的問題(例えば、歴史、解釈論、判例、政策など)を題材として扱い、主として、多角的観点から平和保障の論点と課題を考えることとしたい。
到達目標 講義の概要と論点を把握した上で、受講者自身がその問題にかかわる研究課題を提示できるようにすることを主たる目標としたいと思う。[知識・・思考力・表現力]
受講要件 ・講義は対面授業を基本とする 
・基本的に毎回の講義に出席できることを要件とする(必要があれば日程・時間・教室の調整を行う)。 
・憲法に関する基本的な知識と何よりも憲法問題(平和・人権・民主主義問題)についての関心があることが望ましい。
 ただし、もし憲法に関する基礎知識が不足していると感じる受講者やさらに基礎理論を学びたいという受講者は、当科目の履修と同時に、河上が学部生向けに開講している、「法学(日本国憲法)」や「現代社会と法T・U」などの講義に参加して学修することも可能である。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 事前学修については、事前に提示した文献をよく読みこんで欲しい(30分程度)。
事後学修については、講義で取り上げたポイントをよく思い出しながら、講義教材・資料を再びさらによく読みこむことがまず重要である(60分程度)。

さらに、講義で提示する「参考文献」を読み、応用的な学修を常に心がけて頂きたい。
講義内容 講義内容は、受講者と相談をして決めたいと思うが、一例として、次のようなものを予定している。

第1回 「平和」とは何か 
第2回 現代はいかなる時代か―「地球時代」における平和課題 
第3回 近現代世界の平和思想―フランス革命からカントへ 
第4回 近代日本の平和思想―国権と民権 
第5回 戦後日本の平和理念(1) 「平和憲法」の誕生と「平和国家」 
第6回 戦後日本の平和理念(2) 日本国憲法の平和主義の理念 
第7回 戦後日本の平和の現実(1) 日米安保体制と日米地位協定 
第8回 戦後日本の平和の現実(2) 沖縄の戦後史と平和 
第9回 戦後日本の平和の「構造」― 「豊かさ」の構造と陥穽 
第10回 冷戦後の世界と日本―新自由主義と軍事化 
第11回 核・原子力と平和 
第12回 地方自治と平和―「国家安全保障」と「市民自治型平和保障」 
第13回 平和の政策論(1) 「国」を守るとは何か 
第14回 平和の政策論(2) 戦争違法化と世界連邦論 
第15回 平和に関する残された課題
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 出席、発言・質疑の学術性、報告レジュメ作成、報告、レポート等を総合的に評価する。
教科書等 <教科書>
受講者との相談によって決める。教材は、その都度、指定または事前配布を行いたいと思う。

<参考書>
河上暁弘『平和と市民自治の憲法理論』敬文堂、2012年
河上暁弘『日本国憲法第9条成立の思想的淵源の研究』専修大学出版局、2006年
河上暁弘『平和と市民自治の憲法理論』敬文堂、2012年
河上暁弘『日本国憲法第9条成立の思想的淵源の研究』専修大学出版局、2006年
担当者プロフィール 河上暁弘
富山県富山市生まれ。中央大学法学部政治学科卒業、中央大学大学院法学研究科公法専攻博士前期課程修了、専修大学大学院法学研究科公法学専攻博士後期課程修了、博士(法学)。中央大学人文科学研究所客員研究員、明星大学人文学部非常勤講師などを経て、2008年4月より広島市立大学広島平和研究所講師、2014年4月より現職。専門は、憲法学、人権論、地方自治論。

君島東彦
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。シカゴ大学ロースクール修士課程修了。現在、立命館大学国際関係学部教授。専門は憲法学、平和学。最近の著作として、白井聡との共著『平和をどうつくるのか━━『戦後』を超えて』(メディアイランド、2016年)、共著『戦争と平和を問いなおす━━平和学のフロンティア』(法律文化社、2014年)等がある。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 提出された課題、提示された質問等については講義内の時間でコメントする。
アクティブ・ラーニング 講義時間内に、意見表明、質疑、討論の時間を設ける。
キーワード 憲法 平和主義 立憲主義 人権
備考 ・講義は対面授業を基本とするが、新型コロナ対応でオンライン講義となることもある。 
・基本的に毎回の講義に出席できることを要件とする(必要があれば日程・時間・教室の調整を行う)。
・受講者の希望・都合によっては、サテライトキャンパス(広島市中区大手町)での講義や夕方以降の時間帯での講義を行うこととしたい。遠慮なく講義場所・教室・曜日・時間帯についての希望を提示して頂きたい。