科目名 戦争裁判と国際刑事裁判
単位数 2.0
担当者 広島平和研究所(平和学研究科) 教授 永井 均
履修時期 後期
履修対象 修士課程1、2年
講義形態 講義
講義の目的 1998年7月にローマで開催された外交会議により国際刑事裁判所(ICC)規程が採択され、2002年7月にICCの発足が正式に決まった。国際社会全体の関心事である最も重大な国際犯罪(集団殺害罪、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略の罪)を裁くための常設の国際刑事法廷が、人類史上初めて創設されたのである。第一次大戦後のドイツ皇帝の処罰問題や東京裁判、ICCの創設過程など、日本も戦争犯罪問題について深い関わりを有してきた。本講義では、戦争犯罪をめぐる法と制度の形成過程を歴史的にたどるとともに、ICC規程が定める犯罪類型や刑事手続きなど法律問題について解説する。
到達目標 ・戦争犯罪など重大な国際犯罪を規定する法と制度に関する基礎知識を修得する。
・戦争犯罪問題をめぐる日本の関わりや対応、役割を分析する学識と能力を修得する。
・国際刑事法の現代的な意義と課題を考える知識と能力を修得する。
受講要件 セミナー形式で行うので、受講生は事前に文献を読み、発表と討論に積極的に参加することが求められる。また、期末におけるレポートの提出も受講条件とする。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 受講生は指定されたテキストの範囲を事前に読み、担当者はレジュメを準備・作成する。また、事後には講義で提示、配布された関連資料を読むなどして議論のフォローアップをする。
講義内容 第1回 戦争犯罪と国際刑事法を考える視座
第2回 第一次世界大戦後の戦犯処罰問題
第3回 第二次世界大戦後の戦犯問題と日本の対応
第4回 ニュルンベルク裁判
第5回 東京裁判開廷前史
第6回 東京裁判の検察側
第7回 東京裁判の弁護側 
第8回 東京裁判と判決、別個意見
第9回 BC級戦犯裁判
第10回 戦犯釈放をめぐる政治力学
第11回 ニュルンベルク・東京以後の国際刑事法の発展
第12回 ICCの創設  
第13回 ICCの事項的管轄権
第14回 ICCの意義と課題、今後と展望
第15回 総括
※取り上げるトピック(あるいは順番)は、受講生の研究テーマや関心等を踏まえて、変更することもあり得る。
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 授業参加度50点
期末レポート50点
教科書等 講義の中で適宜指示する。
担当者プロフィール 専門は日本近現代史。単著に『フィリピンと対日戦犯裁判』(岩波書店、2010年)、『フィリピンBC級戦犯裁判』(講談社、2013年)、共著に『近現代日本の戦争と平和』(現代史料出版、2011年)、『日記に読む近代日本』第5巻(吉川弘文館、2012年)、Philippines-Japan Relations (Quezon City: Ateneo de Manila University Press, 2003)、Transcultural Justice at the Tokyo Tribunal: The Allied Struggle for Justice, 1946-48 (Leiden: Brill, 2018) などがある。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 講義で提起された課題について、次回の講義でコメント、講評する。
アクティブ・ラーニング
キーワード 戦争犯罪、ニュルンベルク裁判、東京裁判、国際刑事裁判所(ICC)、国際刑事法
備考