科目名 平和学特殊演習U
単位数 2.0
担当者 河上暁弘 (広島市立大学広島平和研究所准教授)
履修時期 後期 (後期から入学する場合に特殊演習Tを受講後に翌年度前期をスタートとすることもある)
履修対象 博士後期課程1・2・3年
講義形態 演習
講義の目的 本演習は、受講者の研究テーマや関心事項に応じて、基本的には、日本国憲法の平和主義に関連する理論的研究を中心として、憲法(平和・人権・民主主義・立憲主義・自治)に関する理論的・実務的問題を検討・研究しようとするものです。また、それらで得られた知見を元にして学位請求論文の完成に役立つようにしたいと思います。
演習Uでは、演習Tに引き続き、先行研究の重要文献を読み込み、その中で、受講生が選ぶ研究テーマに関するこれまでの先行研究において、これまで何が明らかにされ、また何が明らかにされていないのか、これから明らかにすべき課題はどのようなものか、といったことについて検討できるように、論点整理などを行うことを目標とします。
到達目標 講義でとり上げた内容の概要と論点を把握した上で、それを自分の言葉で説明できるようにし、また受講者自身がその問題にかかわる研究課題を提示できるようにすることを主たる目標とします。 [知識・思考力・表現力]
受講要件 日本国憲法と平和主義に関する基本的な知識とそれと密接に関連する人権・民主主義・自治そして平和問題についての関心があることが望ましい。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 事前学修については、事前に提示した文献をよく読みこんでください(60分程度)。
事後学修については、講義で取り上げたポイントをよく思い出しながら、講義教材・資料を再びさらによく読みこむことがまず重要です(60分程度)。
さらに、講義で提示する「参考文献」を読み、応用的な学修を常に心がけて頂きたいと思います。
講義内容 基本的には、受講者の関心・テーマにあわせて相談してとり上げる内容を決めます。
仮に、「日本国憲法と平和主義」に関するテーマを網羅的に考える場合には次のような論点を取り上げます。

1 近代世界の平和構想 現代戦争とカントの永遠平和論
2 近代日本の平和構想 国権論と民権論の相克
3 憲法9条と「現実主義」(1)「国」を守るとは
4 憲法9条と「現実主義」(2)日本の安全保障環境と現実主義
5 憲法学界と内閣法制局の憲法9条解釈
6 戦後日本の「平和」の構造(1)「豊かさ」と平和
7 戦後日本の「平和」の構造(2)日本企業の海外進出と憲法改正論
8 戦後日本の「平和」の構造(3)集団的自衛権行使・安保法制の論点
9 戦後日本の平和運動と対抗構想
10 憲法研究者の平和構想(1)深瀬忠一構想三部作
11 憲法研究者の平和構想(2)サンダーバード提案
12 憲法研究者の平和構想(3)福祉国家構想研究会
13 地方自治と平和
14 戦争違法化論と世界連邦論
15 戦後日本の平和構想を振り返って
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 研究報告、出席中の発言の積極性・問題提起性などを総合的に判断し、評価します。

【評価の観点】
? 授業内容、研究報告などにかかわる先行研究を適切に把握しているかどうか。
? 先行研究を適切に理解し、自己の研究成果を展開しているかどう
教科書等 <教科書>
受講者との相談によって決めます。教材は、その都度、指定または事前配布を行いたいと思います。

<参考書>
・河上暁弘『平和と市民自治の憲法理論』(敬文堂、2012年)
・河上暁弘『日本国憲法第9条成立の思想的淵源の研究』(専修大学出版局)
担当者プロフィール 富山県富山市生まれ。中央大学法学部政治学科卒業、中央大学大学院法学研究科公法専攻博士前期課程修了、専修大学大学院法学研究科公法学専攻博士後期課程修了、博士(法学)。2008年4月より広島市立大学広島平和研究所講師、2014年4月より現職。専門は、憲法学、人権論、地方自治論等。主著(単著)として、『日本国憲法第9条成立の思想的淵源の研究』(専修大学出版局)、『平和と市民自治の憲法理論』(敬文堂)。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 提出された課題、提示された質問等については講義内の時間でコメントします。
アクティブ・ラーニング 講義時間内に、意見表明、質疑、討論の時間を設けます。
キーワード 憲法 平和主義 立憲主義 人権
備考 ・講義は対面授業を基本とするが、新型コロナ対応でオンライン講義となることもある。 
・基本的に毎回の講義に出席できることを要件とする(必要があれば日程・時間・教室の調整を行う)。
・受講者の希望・都合によっては、サテライトキャンパス(広島市中区大手町)での講義や夕方以降の時間帯での講義を行うこととしたい。遠慮なく講義場所・教室・曜日・時間帯についての希望を提示して頂きたい。