科目名 多文化共生入門
単位数 2.0
担当者 教授 田川 玄(コーディネーター)、教授 ヴェール,ウルリケ、准教授 田浪亜央江
履修時期 前期
履修対象 1年次生
講義形態 講義
講義の目的 この授業は、「多文化」の「共生」という理念を支える基本的な考え方について、互いに関連しあう複数の学問領域を横断しながら、総合的に学ぶことをねらいとします。講義の全体は、「多様な文化との出会いと共生」をキー・コンセプトとする三部で構成されています。

「多文化共生とは?」 (田川)
現代日本で「多文化共生」が唱えられるようになった社会的な状況を把握し、多文化共生概念の起源と可能性について考えます。

「共生のための条件を考える」(田浪)
日本の労働力を維持し日本経済を活性化させる処方箋としてだけの「多文化共生」には疑問をもちます。「多文化共生」が謳われる一方で、「ヘイトスピーチ」や、在留外国人に対する人権侵害が指摘されるのはなぜでしょうか?共生のための条件として、歴史的な経緯(戦前・戦中の日本の植民地政策)への向き合いについて考えたいと思います。

「文化とジェンダー」(ヴェール)
社会規範であり、個人や集団のアイデンティティの拠り所にもなりうる「ジェンダー」。それが「文化」の本質や象徴とされ、「民族」「人種」「階級」などとも重なることで、「我ら」という意識と異質な「彼ら」のイメージを作り出す手段にもなり、「複合差別」にもつながります。実際に、どのような問題が存在しているのか。そして「ジェンダー」に関わる差別を告発してきたフェミニズムの議論でそれがどのように捉えられてきたのか、一緒に見ていきたいです。
到達目標 多文化共生プログラムの入門授業として、複数の文化の共存や他者との共生を目指すための基本的なものの見方と知識を獲得します。(知識・技能)
受講要件 特になし。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 講義の進め方や評価方法についての詳細を初回にお伝えしますので、履修を希望する学生は必ず出席してください。講義のなかで紹介される参考図書は、講義内容の理解につながります。
講義内容 以下のような予定で講義を進めますが、一部変更する可能性があります。

1)イントロダクション(田浪・ヴェール・田川)
2)多文化共生概念の現状(田川)
3)多文化共生の起源と展開(田川)
4)多文化共生概念を組み替える(田川)
5)「多文化共生」と現代日本(田浪)
6)移民・難民と宗教・国籍(田浪)
7)歴史問題から共生の条件を考える(田浪)
8)「多文化共生」と「和解」の条件(田浪)
9)「多文化共生」と「ジェンダー」・「人種」の交差性(ヴェール)
10)移民国ドイツについて(ヴェール)
11)ドイツにおける「多文化共生」と「ジェンダー」・「人種」(ヴェール)
12)日本における「多文化共生」と「ジェンダー」を考える (ヴェール)
13)特別講師による授業
14)全体のまとめ・質疑応答(田浪・ヴェール・田川)
15)課題作成
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 最終回に作成する課題論文の内容にもとづいて評価します(100%)。毎回受講票にひと言コメントを書いて必ず提出すること。15回中10回以上の出席がなければ成績評価の対象となりません。
教科書等 主にWebClassや教室で配布する資料を用います。映像作品などが資料として用いられることもあります。
担当者プロフィール ヴェール,ウルリケ:ジェンダー論、日本研究
田川 玄:文化人類学、アフリカ地域研究
田浪亜央江:中東地域研究、パレスチナ文化論
講義に関連する実務経験 田浪亜央江:2006年4月〜2009年3月 独立行政法人国際交流基金勤務(中東における学術交流事業)
課題や試験に対するフィードバック 適宜、授業終了後に行う。
アクティブ・ラーニング
キーワード 多文化共生
備考