科目名 | 比較文化論U | ||
単位数 | 2.0 | ||
担当者 | 教授 田川 玄 | ||
履修時期 | 後期 | ||
履修対象 | 2年以上 | ||
講義形態 | 講義 | ||
講義の目的 |
テレビにアフリカのどこかの村が映し出される。錆びたトタン屋根の一軒の家屋。暗い部屋のなかに顔色の悪い痩せた若い女性が病気で臥せっている。村人によれば、彼女の病は邪悪な霊が悪さをしているからだという。やがて「伝統的」な治療師が連れてこられ、何やら呪文のようなものを唱え、病人を煙で燻したり何だか分からない液体を降りかけたりしている。さて、これを見てあなたはどのように思うか。 病気は病院に連れて行かなくてはならない。彼らがこうした「迷信」に頼っているのは、「近代的」な医療や教育が普及していないためだ。「近代化」されれば、こうした「迷信」から彼らは脱却できるのに。ところが、「伝統的」な治療師は町に立派なオフィスを構え、携帯電話で病気の相談を受け車を運転して治療に行くと聞けば、どうでしょう。 そもそも、「近代化」している日本も「御守り」「御祓い」「お参り」「占い」「祟り」「前世」「霊感」「血液型」「スピリチュアリティ」という「迷信」に満ちています。熱中するにせよ冷笑するにせよ、信じるにせよ信じないにせよ、テレビに繰り返し現れるそれらには、人びとをとらえて離さない何かがあるのかもしれません。 この授業では、他者を表象する際に、エキゾチックで理解しがたい非合理性として捉えがちな人びとの行為を、人類学的な観点から日常的な思考と実践のなかで理解することを目的とします。 |
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到達目標 | 文化人類学で扱われている宗教に関連するテーマについて理解し、説明することができる。(思考力・判断力・表現力) | ||
受講要件 | 特にありませんが「文化人類学」や「比較文化論T」など関連科目を受講していると理解しやすいです。 | ||
履修取消の可否 | 可 | ||
履修取消不可の理由 | |||
事前・事後学修 | 配布資料と参考資料を事前事後に読むこと。 | ||
講義内容 |
授業は以下のトピックを予定していますが、受講生の反応をみて内容を変更します。 詳細は授業のはじめに説明します。 1.イントロダクション 2.日本人は「無宗教」か? 3.宗教概念の誕生 4.「未開宗教」の「発見」:アニミズム 5.文化進化論的説明 6.機能主義的説明 7.「野生の思考」:トーテミズム 8.アザンデ人の妖術と託宣 9.不幸を物語ること 10.日常的な実践 11.憑依と人格 12.グローバル化と宗教 13.映像から学ぶ 14.振り返り・質疑応答 15.課題作成 |
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期末試験実施の有無 | 実施しない | ||
評価方法・基準 |
平常点 40%(リアクションペーパーと小課題) 課題 60% |
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教科書等 |
参考書 浜本満・浜本まり子編1994『人類学のコモンセンス』学術図書出版社。 シンジルト・梅屋潔編 2017『新版 文化人類学のレッスン』学陽書房。 石井美保・花渕馨也・吉田匡興編2010『宗教の人類学』春風社。 このほかのものは、授業中に適宜示します。 |
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担当者プロフィール | アフリカのエチオピアに住む牧畜民で調査をしています。調査地の町に地元の人がやっている協同組合のお店があり、香木や手作りアロエ石鹸を売っています。お店に行くと売り子さんいわく、この石けんをつかうと「お肌がすべすべになってシミが消える」「アジスアベバの美容室でも置いている」。ここでもそういうセールストークを聞くようになりました。せっかくなので?三つほどお土産に買いました。帰国後に使ってみると、あらお肌が。 | ||
講義に関連する実務経験 | |||
課題や試験に対するフィードバック | 課題とリアクションペーパーについて、授業で講評や質問への回答を行う。 | ||
アクティブ・ラーニング | |||
キーワード | 人類学、宗教、日常行為、呪術・技術、憑依・人格・身体、妖術・不幸・社会、グローバル化 | ||
備考 |