科目名 共生の哲学T
単位数 2.0
担当者 上尾真道
履修時期 前期
履修対象 2年次以上
講義形態 講義
講義の目的 ひとは独りでは生きられない、としばしば言われる。20世紀はじめに登場した精神分析の理論は、この条件を「よるべなさ」と呼び、幼年期から成人までひとがどのように他者との関わりのもとに主体形成していくのか、その心理プロセスを考察した。本講義を受講する学生は、この精神分析理論の要点を、関連する哲学議論とともに学び、他者との共生について考えるための概念的道具を獲得する。さらに授業の後半では、精神分析理論を基礎に、ケア的関係に関する論点を学び、現代の共生をめぐる具体的課題を検討する。
到達目標 ・他者との共生のなかで達成される主体化の理論について学ぶ(知識・技能)
・ケアをめぐる哲学的論点について知識を得る(知識・技能)
・他者との共生に関わる課題を自身で設定し、哲学的概念を使用しながら考察する(思考力・判断力)
受講要件 特になし
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 授業で紹介した文献・作品などについては、授業後に自分で積極的に調べてください。また授業前には前回の内容について復習を行ってください。
講義内容 人間の「よるべなさ」から出発して、共生をめぐる様々な論点について検討していきます。授業の前半部では、精神分析理論と哲学を取り上げて、他者とともに生きる人間の主体化の問題を扱います。授業の後半では、ケアの観点から、人間同士のより親密な共生のあり方について考えます。

1  導入ー「よるべなさ」という条件
2  私と他者1−−鏡の関係
3  私と他者2−−ことばの次元
4  私と他者3−−承認と欲望
5  私と他者4−−法と主体化
6  私と他者5−−集団と情緒的絆
7  私と他者6−−”よそ者”の排除
8  私と他者7ーー罰する道徳
9  ケアと共生1ーー強い主体からケアの主体へ
10 ケアと共生2−−ケア倫理と「他なる声」
11 ケアと共生3ーー母親業
12 ケアと共生4ーー私的なものと公的なもの
13 ケアと共生5ーーケアと新自由主義
14 ケアと共生6 −−開かれた共同体の論理
15 まとめーーケアとヒューマニティー
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 授業内のミニレポート:50%
最終レポート:50%
教科書等 特になし
担当者プロフィール 精神分析家ジャック・ラカンの思想を中心にフランス哲学・現代思想を研究しています。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 授業のなかで、課題について講評を実施します。
アクティブ・ラーニング
キーワード 他者、主体化、共生、精神分析、集団、排除、ケア、再生産
備考