科目名 | ラテンアメリカ研究T | ||
単位数 | 2.0 | ||
担当者 | 准教授 吉江 貴文 | ||
履修時期 | 前期 | ||
履修対象 | 3年次以上 | ||
講義形態 | 講義 | ||
講義の目的 |
・歴史的・民族的・文化的に多様な要素で構成されるラテンアメリカ世界の形成プロセスがいかにして進んだのかを、スペインによる植民地化の始まる16世紀から現代までを中心に、歴史人類学および地域研究の視点にもとづいて考察をする。 ・講義全体は4つのセクションから構成される。それぞれのセクションの焦点は以下の通りである。 《セクション1:ラテンアメリカ地域の概要と成り立ち》 現代を中心にラテンアメリカ地域全体の構成や特徴について、地域研究の視点から包括的に把 握する。 《セクション2:二つの世界の出会いと異文化対話の可能性》 現在のラテンアメリカ世界の礎が築かれるスペイン征服初期(16世紀)から植民地期(19世紀初 頭)を中心に、ヨーロッパとアメリカという二つの異なる世界の出会いがもたらす衝突・折衝・ 融合のプロセスとその歴史的な意味合いについて、異文化間対話の可能性という視点から考察す る。 セクション3: 国民国家の形成と多民族社会 ラテンアメリカ諸国がスペイン植民地からの独立を果たす19世紀以降に焦点を当て、国民国家の 成立プロセスと先住民との関係を軸に、多民族・多文化社会の形成という視点からラテンアメリ カ近代の特徴について考える。 セクション4: 二つのアメリカをめぐる相克 20世紀以降に台頭する「北の巨人」こと、アメリカ合衆国の影響を中心に、現代ラテンアメリ カ諸国の国際社会における位置づけについて、具体的な事例を取り上げながら考察する。 |
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到達目標 |
・ラテンアメリカ世界の成り立ちについて人類学および地域研究の視点から包括的に理解する(知識・技能)。 ・歴史的・民族的・文化的に多様なラテンアメリカ世界の実態とその背景について説明できるようにする(思考力・表現力)。 ・地域研究のアプローチの特徴について、具体的な実践例を踏まえながら理解し、説明する(思考力・判断力・表現力)。 |
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受講要件 | ラテンアメリカの歴史や文化に関心のある学生を対象とする。また、スペイン語の資料を適宜用いるので、その基礎的素養を備えていることが望ましい。 | ||
履修取消の可否 | 可 | ||
履修取消不可の理由 | |||
事前・事後学修 | 各セクションの内容にそくして予習課題を与えるので、下記参考図書等の資料を用いて各自で事前学習を行い、指定字数のレポートにまとめて提出する。 | ||
講義内容 |
序論: ラテンアメリカ研究へのアプローチ セクション 1: ラテンアメリカ地域の成り立ち 1-1 「ラテンアメリカ」という対象設定 1-2 ラテンアメリカ世界の歴史的由来 1-3 古代アメリカ人の世界と文明の成立 1-4 アンデス的空間とスペイン人の自然認識 セクション 2: スペイン植民地期―二つの世界の出会いと異文化対話の可能性 2-1 スペインによるインディアス征服とヨーロッパ世界 2-2 「インディオは人間か?」をめぐる論争 2-3 ラテンアメリカにおけるメスティソ概念と国民社会 2-4 社会的構成概念としての人種論と先住民 セクション 3: 近代国家の形成と多民族社会 3-1 近代国家の形成と先住民のポジショナリティ 3-2 アンデス諸国におけるインディヘニスモ運動と近代 3-3 現代ボリビアのコカ・ナショナリズムと対米関係 3-4 キューバと公正な社会の実現 セクション 4: 二つのアメリカをめぐる相克 3-1 軍事政権の台頭と「二つのアメリカ」 3-2 現代ラテンアメリカにおける「格差社会」との闘い まとめ: 21世紀ラテンアメリカの向かう道 |
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期末試験実施の有無 | 実施しない | ||
評価方法・基準 |
〈成績評価〉 ・平常点(セクションごとの課題・コメント・小テストなど)60%、期末課題(レポートなど)40% の割合でポイント化し、総合評価に基づいて成績を算定する。 ・単位取得の最低ラインは全体ポイントの60%以上。 |
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教科書等 |
参考図書: 国本伊代・中川文雄編 2005 『ラテンアメリカ研究への招待 改訂新版』 新評論。 増田義郎 1998 『物語ラテン・アメリカの歴史 未来の大陸』 中公新書。 網野徹也 2018 『興亡の世界史12 インカとスペイン 帝国の交錯』 講談社学術文庫。 清水透 2017 『ラテンアメリカ500年 歴史のトルソー』 岩波書店。 |
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担当者プロフィール |
専門領域は歴史人類学(ラテンアメリカ、スペイン)、文書研究。 1993年より、ボリビア、ペルー、スペインを中心にフィールド調査を行っている。現在の研究テーマは『近代ヒスパニック世界における文書ネットワークの成立と展開』。 ・国際棟734研究室。 |
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講義に関連する実務経験 | |||
課題や試験に対するフィードバック | 授業のなかで提示する課題(レポート等)については、適宜、評価し、模範解答、注意点、コメント等を対面授業、およびWebClassによって示す。 | ||
アクティブ・ラーニング | PBL、TBL、プレゼンテーション、振り返り。 | ||
キーワード | ラテンアメリカ、地域研究、植民地史、歴史人類学。 | ||
備考 |