科目名 広島と世界
単位数 2.0
担当者 井上泰浩(コーディネーター)、ヴェール,ウルリケ、太田育子、大場静枝、金栄鎬、武田悠、田浪亜央江、秦野貴光、藤原優美、古澤嘉朗、吉江貴文
履修時期 後期
履修対象 2年
講義形態 講義
講義の目的 広島の原爆攻撃に始まり、今さらに「明白かつ現在の危険」であることが高まっている原爆(核兵器)の問題を、広島の視点に立脚し、かつ国際的で多面的に考察すること―― この講義の目的である。
非人道的であると日本では理解されている原爆は、攻撃を行ったアメリカでは一般的に賛美・正当化されるなど、国によってとらえ方はまったく異なる。アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、中国、韓国、中東アラブ、ラテンアメリカなど世界では、原爆と広島・長崎への使用が、そして、核廃絶や核抑止論がどのように理解されているかについて、国際学部の幅広い研究分野の教員がそれぞれの視点で解説を行う。原爆理解の多様性と変化を考えるだけではなく、核兵器禁止条約が発効した世界の動き、さらに、現在の世界情勢で露わになり、深刻化した「核の恫喝」や核使用の懸念について
も考える。
到達目標 多様かつ国際的視点で広島と原爆、そして現在の問題としての核兵器と政策について理解できるようになる。具体的には、現在、世界では原爆がどのような枠組みで報じられているか(例 救世主、戦争犯罪)、(2)原爆の実態(民間人の犠牲、凄惨な人的被害や放射能による今も続く被害など)がどの程度伝えられているのか、そして、(3)以上のことに各国や地域の文化や歴史などがどう影響しており、現在の核兵器をめぐる世界情勢、安全保障、平和政策にど
のように反映しているかなどを学ぶ。
受講要件 なし
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 事前に配布もしくは指示された文献や資料を熟読して受講する
こと
講義内容 1.授業概要 原爆は人命を救ったのか戦争犯罪なのか (井上)
2.アメリカ 根づいた原爆神話と変化の兆し(井上)
3.イギリス 原爆に対する世論と政策の乖離(井上)
4.フランス 核抑止力と核兵器廃絶のはざまで(大場)
5.ドイツ 「平和利用」と「アウシュヴィッツ」への視座(ヴェール)
6.ロシア 露外交と核兵器(秦野)
7.中国     中国における原爆理解(藤原)
8.韓国 植民地支配の記憶、保守 vs.進歩の理念論争(金)
9.中東アラブ ヒロシマの記憶と中東非核地帯構想の背景(田浪)
10.ラテンアメリカ 非核地帯化構想とヒロシマ報道への影響(吉江)
11.広島市の戦後復興:平和構築(支援)への視座(古澤)
12.核のタブー:核兵器へのイメージの国際比較 (武田)
13.核兵器禁止条約と核被災の語り (太田)
14.研究発表 (井上)
15.研究発表、まとめ (井上)
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 授業への積極的参加(毎回の受講票に授業の感想と意見を記述する)=70%
エッセー(授業で扱われるテーマの中で、興味のある国や地域、
あるいは論点を選択し、授業内容、教科書、自分で検索した文献を参照して考えをまとめる。)=30%
教科書等 教科書: 井上泰浩編著(2021)『世界は広島をどう理解しているか原爆 75 年の 55 か国・地域の報道』中央公論新社。
参考書: Rinnert, Carol, Omar Farouk & Yasuhiro Inoue (Eds.). (2010). Hiroshima & Peace. Hiroshima, Japan: Keisuisha.
担当者プロフィール
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 授業後の受講票に書かれた質問については、WebClass を通して、担当教授が回答を行う。
アクティブ・ラーニング 文献調査と批評、プレゼンテーション、ディスカッション
キーワード 原爆、原爆投下・攻撃、原爆神話、広島、長崎、核兵器、新聞報道、フレーミング、メディア・フレーム、対日意識・世論、戦争終結・人名救済、戦争犯罪・無差別殺戮、抑止論、核廃絶、核政策、平和
構築、非核地帯、核兵器禁止条約
備考