科目名 国際社会論T
単位数 2.0
担当者 教授 湯浅 正恵
履修時期 前期
履修対象 2年次
講義形態 講義
講義の目的 授業形態:講義 
 みなさんが小学生だった頃、街頭や広場にあふれる普通の人々の政治行動で、世界も日本も大きく揺れ動いていました。2010年チュニジアに始まった「アラブの春」では、民衆の反政府デモにより長期独裁政権が次々に倒れました。その翌年アメリカでは「ウォール街を占拠せよ!」を合言葉に、経済界や政界への抗議の意思表示としてのデモや座り込みが、半年以上継続しました。そして日本では「絶対安全」と言われた原子炉3基がメルトダウンし、2012年6月には20万人の反原発・脱原発デモが首相官邸を取り囲みました。デモは原子力発電の中止を求めただけではありませんでした。政官学そしてメディアの癒着構造への抗議、民主主義の危機や科学万能主義への警鐘などざまざまな主張と、社会変革の要求がありました。それから12年が経過し、岸田政権は再度、原発活用にむけて大きく政策を転換しました。日本社会は福島事故でつきつけられた課題にどのように向き合ったのでしょうか。本講義では、福島第一原発事故を振り返りながら、原発事故がもたらした日本社会への影響を国際社会の今に位置付け、多面的に考えます。
到達目標 私たちの日常生活と国際社会をつなぎ、学際的な知識により批判的に社会のありかたを考える技能を涵養します。また自らの生き方を考える思考力と他者と共に考える判断力を身につけます。
受講要件 本講義の理解をより深めるために全学科目の社会学をできれば受講ください。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 授業で使う文献をあらかじめ読んでおく事前課題、授業で学んだことを自分の言葉でまとめて整理する事後課題などを出します。事後課題で学習達成度を確認しながら授業を進めます。
講義内容  
1 イントロダクション:国際問題としての福島第一原子力発電所事故
2 日本の原子力利用の国際的文脈
3 日本の原子力利用の国内的文脈
4 原発推進と抵抗の歴史@総論 
5 原発推進と抵抗の歴史A上関原発計画の事例
6 原発推進と抵抗の歴史B討論
7 東京電力福島第一原発事故
8 避難と復興をめぐる政治・経済
9 避難と復興をめぐる社会:避難者の視点から
10 放射線防護の科学:20mSv基準
11 放射線防護の科学:寿命調査と100mSv
12 事故から10年国内的影響
13 事故から10年国際的影響
14 原発と民主と平和
15 まとめ

*受講生の人数と授業の進み具合によって内容を変更する場合があります。
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 平常点(50%)と期末レポート(50%)で評価します。
教科書等 必要に応じて資料は配布します。
担当者プロフィール 大学では心理学を学び、大学院では学際的な国際学を志しました。なによりも現代社会に生きる一人として、理論を用い自らの現場に光をあて、見て、感じて、他者との共同的実践に結び付けていく、そのような勉強を皆さんと一緒にやっていきたいと考えています。研究室は国際学部棟7階730号室です。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 課題は授業の中で紹介しながらコメントし、前回の授業の復習とします。期末レポートにはwebclass を用いてコメントします。
アクティブ・ラーニング 受講人数にもよりますが、少人数ディスカッションを取り入れたいと考えています。
キーワード 原子力発電、放射性物質、原発事故、放射線防護政策、原発反対運動、原子力政策
備考