科目名 民族国家論T
単位数 2.0
担当者 大庭千恵子
履修時期 後期
履修対象 3年
講義形態 講義
講義の目的 講義タイトルにある「民族国家」とは「nation-state」の訳です。「国民国家」と訳されることもあり、国際関係における重要なアクターのひとつと考えられています。2020年の新型コロナウィルス感染症拡大にともなう移動制限や、2022年ウクライナ危機などを通じて、あらためて国家という枠組みが様々な影響力を持つことに気づいた人も多かったのではないでしょうか。

この授業では、国際関係史における「nation-state」という概念の成立以後、現在にかけてどのような変化が生じた(つつある)のかに焦点をあて、20世紀から現在にいたるさまざまな事例について考えます。
到達目標 現在ニュースでとりあげられているさまざまな事柄の意味や背景について、多角的な視点から見ることができる。(知識・技能)

nation-stateの変容に係る事象について、概要をまとめて、自分の意見を述べることができる。(知識・技能、思考力・表現力)
受講要件  授業で取り上げるトピックは、すでに知っていることかもしれませんし、あるいは聞いたことはあるけれど詳しくは知らないことかもしれません。知っているはずのことも、改めて考えてみると、それまで気づいていなかった意味に気づくことができるかもしれません。

 毎回の授業では、基礎情報の確認から始めますので、いま起きているさまざまな事柄の背景には何があるのか、「民族国家論」の視点からみたらどのように見えるのか、ということに関心を持って、授業に参加してください。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 授業中に使用する配布資料(レジュメ)は、授業前日の午後にWebClassにアップします。

授業で使用したパワーポイントを閲覧するためのURLをWebClassにアップしますので、復習やレポート作成のために、必要に応じて各自で利用してください。
講義内容 第一部 オリエンテーション(基礎知識編)
 1.初回ガイダンス:「nation」とは
 2.イントロダクション@ −「nation」と「state」は、本来は別モノ
 3.イントロダクションA −19世紀末日本における「nation」と「state」

第二部 理想としての「nation−state」 vs. 現実の「nation−state」

 4. 第一次世界大戦が与えた影響 − 「国家」を持つことができるのは誰か?
 5.「ユダヤ人」という概念から何が見えるか? 
6.「国籍」はなぜ必要か?
7.日本における「国籍」と「国民」
8. 今、「nation−state」はどう変化しつつあるのか?

第三部 ヨーロッパにおける国境を超える人の移動と「nation‐state」
 9.「外国人労働者」から「移民」、そして「難民」− ドイツの事例
10.「包摂」か「排除」か − フランスの事例
11.「選択的移民受け入れ」とは − 英国の事例
12.「福祉国家」は誰のものか − スウェーデンの事例
13.「地域主義」が「移民」と「難民」に直面する − イタリアの事例
14.「地方自治体」だからこそできること − スペインの事例

15.前期講義のまとめ − レポート作成
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 1.毎回の授業について、受講票(リアクション・ぺーパー)をWebClassを通じて提出:
50%

2.レポート:50%

* 単位取得のためには、上記1と2の両方が必要です。詳しくは、初回ガイダンスで説明します。
教科書等 教科書や参考文献は指定せず、毎回の授業に必要な資料を、出典を明記した上で講義資料(レジュメ)として配布します。


この授業と関連して、以下の文献は考えるヒントになります。

・宮島喬・佐藤成基『包摂・共生の政治化、排除の政治化―移民・難民と向き合うヨーロッパ』明石書店、2019年。
・明石純一『人の国際移動は管理されうるのか―移民をめぐる秩序形成とガバナンス構築』ミネルヴァ書房、2020年。
担当者プロフィール
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 受講票(リアクション・ペーパー)に記載された内容(授業について考えたことや質問)は、次回授業で、フィードバックします。
アクティブ・ラーニング ・毎回の授業について振り返り、受講票(リアクション・ペーパー)を作成
・講義全体について振り返り、レポートを作成振り返り
キーワード nation-state、国民と国籍、移民・難民、ヨーロッパの移民政策
備考