科目名 国際人権法
単位数 2.0
担当者 教授 太田 育子
履修時期 前期
履修対象 3年
講義形態 講義
講義の目的  国連の誕生とともに創設され拡充されてきた国際人権保障のシステムの構成や機能、国際人権規約や人種差別撤廃条約といった普遍的な条約の内容や運用、さらに締約国の国内実施義務などを理解する。
 また、ドキュメンタリー番組や新聞記事などを通して、幅広い見識を主体的に身につけながら、他の受講生の意見も踏まえて、国際人権問題の展望について判断し表現する。
到達目標 (1) 国際人権法(人権に関する条約や宣言、それらを実施するための国際的・国内的な制度や手続きの体系)の基本概念を理解することによって、各自の人間観を拡げ深めることができる[DP: 知識]。
(2) 現実(国際社会に生起する事象)と法とのかかわりを理解することによって、各自の実現したい価値と人権規範・制度がどのような関係にあるか主体的に考え、グループで表現することができる[DP: 思考力・判断力・表現力][DP: 主体性・協調性]。
受講要件 *重要*
 どの時代どの国家でも「権力は腐敗する、絶対権力は絶対的に腐敗する」("Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely.“)は歴史的な真理で、それゆえ立憲主義(憲法によって国家権力を制限し、法や基本的人権に基づいた政治を実行しようとする考え方)に立ち、 常に権力に関心を向け続けることが、われわれの安全と幸福に直結します。
 17世紀から18世紀にかけて、啓蒙思想家のロックやモンテスキューらにより理論化された近代民主政治の原理が「三権分立」です。国家権力を立法・行政・司法のそれぞれ独立した機関に担当させ、相互に抑制・均衡を図ることによって権力の濫用を防止し、専制政治を防ぐ原理であり、立憲主義の理念に基づく日本国憲法にも取り入れられています。
 日本国憲法の下にある本学の法学系科目も、立憲主義や三権分立を授業内容の基盤としています。特にこの科目では、国際社会で起きる事象について、様々な解説や意見を冷静に受けとめ、どの国の立法府・司法府・行政府の行動も客観的に理解して、自分の外側の権威を代弁するのではなく、自分の内側で考えた意見を表明しようとすることが受講要件となります。
 また、「法学(日本国憲法)」、「平和と人権」、「国際法」を履修していると、講義内容の理解がより深まるでしょう。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修  講義で取り扱う項目に関連のメディア報道を視聴したり、新聞記事等を探し閲覧しましょう。
 各自の人間観を拡げ深めるために、関連するメディア報道を視聴したり、新聞記事等を読んでみましょう。また、WebClass-TimeLine(WCTL)への他の受講生のコメントを読みながら、国際人権問題の進展についても各自で予測を立て、グループプレゼンテーション(GP)に備えましょう。
講義内容 *重要* 
 以下のシラバス情報は、情勢の変化に伴い、みなさんと相談しながら随時変更されます。詳細はWebClassでご確認ください。

第1回 イントロダクションー国際人権法とはなにか(プロローグ)
第2回 イントロダクションーなぜ国際人権法か(エピローグ)
第3回 権利と義務(1章)+自由権と社会権(2章)+GP意向収集
第4回 差別の種別(3章)+GP分け決定[※Zoom開催予定]
第5回 GP準備
第6回 GP: 女性差別撤廃条約(4章)
第7回 GP: 人種差別撤廃条約(5章)
第8回 GP: 子どもの権利条約(6章)
第9回 GP: 障害者権利条約(7章)
第10回 GP: 国際労働機関(ILO)条約(8章)
第11回 GP: 難民条約と拷問等禁止条約(9章)
第12回 GP: 難民条約と移住労働者権利条約(10章)
第13回 GP: 条約の国内的効力(11章)
第14回 GP: 国家報告制度(12章)
第15回 GP: 個人通報制度(13章)+全体フィードバック+授業アンケート
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準  平常点: WCTLへの記名記入およびプレゼングループへのコメント(60%)。
 グループプレゼンテーション: 教科書から関心あるトピックを選んでのグループプレゼンおよびクラスからの質疑への応答(40%)。
教科書等  教科書:川島聡他『国際人権法の考え方』(法律文化社、2021年)
 参考書:授業中に適宜指示します。
担当者プロフィール  国際法・国際人権法専攻、法学博士(Stanford Univ.).
 研究室:国際学部棟6階・637研究室
 連絡方法:WebClassメッセージ機能(作成画面末尾の登録メール□にも?)を利用してください。

講義に関連する実務経験 【実務経験】1991年6月〜1992年10月 外務省経済局海洋課調査員
      (国連海洋法条約の逐条解説作成など国際法業務の補助)
【実務経験】2013年4月〜2018年11月 広島県情報公開・個人情報保護審査会委員(審査と答申)
課題や試験に対するフィードバック  平常点に関しては、受講生の特徴あるコメント・質問を抜粋して、クラス内および必要に応じてWC資料掲載を通じ、フィードバックを行います。
 グループプレゼンテーションに関しては、毎回の質疑応答に参加し、必要に応じてWC資料掲載でフォローアップする形でフィードバックを行います。
アクティブ・ラーニング PBL,TBL,プレゼンテーション、調査活動、振り返り
キーワード 法の支配、立憲主義、国際人権章典、条約機関、国際人権法の国内実施
備考