科目名 | 財政学U | ||
単位数 | 2.0 | ||
担当者 | 教授 寺田 英子 | ||
履修時期 | 後期 | ||
履修対象 | 2年 | ||
講義形態 | 講義 | ||
講義の目的 |
この授業では様々なタイプの環境問題を経済学の視点から考えます. 前期の「財政学I」で学んだ市場の失敗と政府の政策介入に関する基礎的な知識をこの講義でも使います. 政府、自治体、企業や市民が環境問題に対処する方法はいろいろあります.この講義では,経済学の立場からみてこれらの主体の行動が合理的なものかどうかを考えます. |
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到達目標 |
この科目は国際学部のディプロマ・ポリシーを構成する「知識・技能」を身につけることを目標としています. この授業の到達目標は,ミクロ経済学で用いられる資源配分上の効率性の考え方を身近な環境問題にあてはめて,経済学的な考え方の特徴を理解することです. ここでの効率性の概念とは,社会の資源配分の仕方に関わるものです.できるだけ具体的に問題を考えることができるように,事例をもとにミクロ経済学的な考え方を説明します.これまでに扱った事例は,国内と海外の都市の交通渋滞,景観の保存,枯渇資源の維持などです. |
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受講要件 | とくにありません.前期の「財政学I」を履修していなくても受講できますが,受講していることが望ましいです. | ||
履修取消の可否 | 可 | ||
履修取消不可の理由 | |||
事前・事後学修 |
・授業後にノートを整理して下さい.分りにくい部分は、教科書の栗山浩一、馬奈木俊介『環境経済学をつかむ』有斐閣,2008年を参照して下さい. ・WebClassメールによる質問を受け付けています. |
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講義内容 |
第1回 環境問題を経済学の立場から考える 第2回 環境の価値について;支払意思額 第3回 環境の価値について;受入補償(受容)額 第4回 無差別曲線の意味、支払意思額と受入補償(受容)額の図示、例題 第5回 個別需要曲線、市場需要曲線、消費者余剰について 第6回 第1回クイズ実施(第2回から第5回の授業内容から出題) 第7回 第1回クイズの解説と重要な概念の復習等 第8回 環境評価手法: トラベルコスト法について 第9回 環境評価手法: 仮想評価法(CVM)について,第2回クイズの実施方法と課題の配布 第10回 外部性が存在するときの経済学的な対処;コース定理と自発的交渉、取引費用の存在 第11回 第2回クイズの実施と重要な概念の復習等 第12回 外部性の内部化について: ピグー税の概念と事例(混雑税) 第13回 外部性が存在するときの経済学的な対処方法 第14回 自発的交渉で外部性の問題は解決できるのか、授業に関する質問の収集 第15回 授業に関する質問に回答、重要な概念の復習 2月上旬に第3回クイズ(第12回〜第15回の講義内容から出題)を実施します. |
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期末試験実施の有無 | 実施する | ||
評価方法・基準 |
・学期中にクイズ(小テスト)を3回,ノート・配布資料持ち込みで実施する予定です.クイズ実施の予定は「授業内容」に書いたとおりです.2週間前にアナウンスをします. ・クイズの結果で成績評価をします.レポート形式の課題を出したときは、それも成績評価に加えます. ・クイズの目的は講義で説明した重要な概念が理解できたかどうかを確認することです. ・全体的な理解にやや難がある場合には再解説するので、予定していた授業内容とずれが生じることがあります. ・出席回数の要件については学生ハンドブックに規定されているとおりです. |
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教科書等 |
教科書:井堀利宏『公共経済学』新世社,1998年 栗山浩一、馬奈木俊介『環境経済学をつかむ』有斐閣,2008年 栗山浩一、柘植隆宏、庄子 康 『初心者のための環境評価入門』勁草書房,2013年 肥田野 登『環境と行政の経済評価―CVM(仮想市場法)マニュアル 』勁草書房,1999年 参考書:Miller, R. L., Benjamin D. K., and North D. C., The Economics of Public Issues, 12th Edition, Addison Wesley Longman, 2001. その他の関連資料は必要に応じて講義中に配布します. |
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担当者プロフィール |
研究者としての私の特徴 @ 分析ツールは公共選択論で,現実の政策に関心がありますが,その中身というよりは, 制度的な意思決定の仕組みや経済的なインセンティブに興味があります. A 市場メカニズムにまかせるほうが,いろいろと無駄は生じるものの,計画経済的な状況 よりもはるかにマシだ,と考えています. 私の研究内容 @ イングランドの地方部における公共交通と社会的包摂の研究 A 公共交通のアクセシビリティに関する日とイングランドの比較研究 B 日本の国際拠点港湾の民営化に関する研究 |
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講義に関連する実務経験 | 1987年〜1998年まで(株)PHP総合研究所というシンクタンクで研究員をしていました.男女雇用機会均等法(1985年制定)が施行されて2年目の総合職として入社しましたが,大学院での研究内容(公共交通、港湾物流)を活かすことができる仕事でした.外部資金の獲得も担当業務の一部だったので、研究企画をコンペに出して助成金を獲得し,大学教員の研究作業をコーディネートして成果を出すという経験が今でも役立っています. | ||
課題や試験に対するフィードバック |
・クイズに備えて授業内容についての質問を集め,回答します. ・クイズ終了後に、解答例を配布して解説をします. ・全体的な理解にやや難がある場合には再解説します.そのため,予定していた授業内容とずれが生じることがあります. |
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アクティブ・ラーニング | |||
キーワード | 環境経済学,支払意思額,受入補償額,環境評価手法,外部性の内部化,自発的交渉,所有権,取引費用. | ||
備考 |