科目名 地方自治論
単位数 2.0
担当者 河上暁弘 (広島市立大学広島平和研究所教授)
履修時期 前期
履修対象 2・3・4年
講義形態 講義
講義の目的 本科目「地方自治論」は、地方自治・地方政府制度に関する一般理論や現在の状況を学ぶとともに、その視座から現代における政治・行政・社会問題を読み解くことを目的とします。

今日、「地方の時代」とも言われ、地方分権の必要性が強調されています。今や地方自治体は、国(中央政府)の下請機関・末端機関ではなく、様々な政策上の争点や課題が具体的に現れる現場の最前線・最先端の場・機関と位置づけられ、そこでは地域の個性を生かしながら、最先端の政策や行政手法が生み出され実行されうる可能性を持ちます。また、市民がローカルにおいて、平和や人権を実現すべく実践を積み上げ、国や国際社会を動かすに至ることもよく見られることです。今日の市民にとっては、ソーシャル、ローカル、ナショナル、リージョナル、グローバル、いずれの視点・視座も十分に持ちながら行動することが求められています。
本科目「地方自治論」は、今日起こる様々な社会問題・政治問題・行政問題を<地方自治>という切り口から切り取り、現場最前線の視点から分析し、またそれを平和創造にもつなげて考える意味を学んでもらいたいと思います。
到達目標 講義の概要と論点を把握した上で、それを自分の言葉で説明でき、受講者自身がその問題にかかわる研究課題を提示できるようにすることを主たる目標とします。[知識・思考力・表現力]
受講要件  基本的に対面授業とします。

 地方自治に関する基本的な知識と地方自治に密接に関連する人権・民主主義問題についての関心があることが望ましいです。
 主権者たる住民として、あるいは将来の進路として自治体職員等の公務員を志望する方など、地方自治に関する基礎事項から学びたいという方の受講も歓迎します。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 事前学修については、事前に提示した教科書の該当部分や講義資料を一読しておいてください(30分程度)。
事後学修については、講義で取り上げたポイントをよく思い出しながら、講義教材・資料を再びさらによく読みこむことがまず重要です(60分程度)。

さらに、講義で提示する「参考文献」を読み、応用的な学修を常に心がけてほしいと思います。
講義内容 講義内容は、今年度は、次のようなテーマをとりあげたいと思います。
なお、各テーマにおいては、近年論点となっているような具体的な事例についてもとり上げる予定です。例えば、広島の平和行政と国際活動、沖縄の基地問題、道州制構想、大阪都構想、自治体合併、地方創生、総務省2020年構想などが現時点の候補です。

1. はじめに 地方自治論の視野
2. 人権保障と政府信託論―地方自治は人権保障・政策実現の最前線
3. 地方自治の歴史(1) 旧憲法と地方制度
4. 地方自治の歴史(2) 日本国憲法の制定
5. 地方自治の歴史(3) 戦後地方自治制度
6. 憲法と地方自治(1) 地方自治の本旨と民主主義
7. 憲法と地方自治(2) 条例制定権
8. 地方自治の主体―住民の権利
9. 自治体機構(1)自治体と執行機関
10. 自治体機構(2)議会
11.  自治体の国際政策―国際化時代の地方自治と自治体外交
12. 自治体による平和保障
13.  自治基本条例と議会基本条例
14. 分権時代の地方自治(1)地方分権改革の背景と意義
15. 分権時代の地方自治(2)近年の自治・分権改革の論点とこれからの課題
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 基本的には、受講者が少人数の場合はゼミ方式とし、課題(期末レポート)を提出してもらい、課題・授業内での発言等を総合的に評価します。
教科書等 <教科書>
講義の教材(レジュメ・資料等のプリント)は、学内講義支援webシステム「Web Class」に、各回事前に掲載(アップロード)します。各自ダウンロード・印刷をして講義当日必ず持参してください(予習・復習にも活用してください)。その他、参考となる教材や資料を提示・指定・例示することもあります。

<参考書>
河上暁弘『平和と市民自治の憲法理論』敬文堂、2012年
小林武『地方自治の憲法学』晃洋書房 、2001年
今井照『地方自治講義』 ちくま新書、2017年
白藤博行『新しい時代の地方自治像の探究』自治体研究社、2013年
松下圭一編『自治体の国際政策』学陽書房 、1988年
担当者プロフィール 担当者プロフィール
河上暁弘 広島市立大学広島平和研究所准教授・広島市立大学大学院平和学研究科准教授
その他の事項は大学ホームページ参照。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 提出された課題、提示された質問等については講義内の時間でコメントします。
必要に応じてWEBClassでコメント回答をすることもあります。
アクティブ・ラーニング 講義時間内に、意見表明、質疑、討論の時間を設けます。
キーワード 地方自治 地方行政 自治制度 地方政府 市民 地方 自治
備考 ・対面授業を予定していますが、新型コロナ感染拡大等の場合にオンライン講義に変更することもあります。
・現時点では、少人数の講義を想定しているので、その場合は、いわゆるゼミ方式を採用することになります。ただし、報告者はまずは、私・河上が務めます。その報告を受けて参加者が討議をするという形式とします。事前に希望があれば、受講者が報告者を務めることももちろん歓迎します。
受講者が10名をこえない場合は、少人数用の教室(広島市立大学広島平和研究所会議室など)に教室変更を行うことがありますので教室変更を含めたお知らせに注意してください(WebClassでも必ずお知らせします)。