科目名 国際ビジネス法務T
単位数 2.0
担当者 寺井 里沙
履修時期 前期
履修対象 3年
講義形態 講義
講義の目的  少子高齢化に伴う国内市場の縮小を踏まえれば、中小企業であっても海外市場に目を向け、海外の企業、消費者を対象に今後のビジネス展開を考える必要があるでしょう。
 外国の企業を取引相手に事業展開する際には、多くのリスクが伴います。例えば、貿易の場合には、輸出者は「輸出した商品に対して本当に代金を支払ってくれるのか?」という支払に関するリスクを、輸入者は「輸入した商品を本当に引渡してくれるのか?」という引渡に関するリスクを懸念するはずです。こうしたリスクは国内取引にも当然伴いますが、異なる国の企業を相手方とする国際取引の場合にはより大きなリスクが伴います。それでは、これらのリスクを回避するためには、いかなる支払手段、引渡方法を用いるべきでしょうか?また、国際取引において紛争が生じた場合には、いずれの国で裁判をし、いずれの国の法を適用すべきでしょうか?
 本講義では、以上のような、国際ビジネスに携わる上で必要となる法律上の論点について学びます。
 理論だけでなく実務についても学んでもらうために、裁判例を読みます。裁判例を読むことで、国際ビジネスでは、どのような当事者の間にどのような利害関係があり、その問題をどのように解決、調整するのか、具体的にイメージできるようになります。判決文では専門的な法律用語が使われ、内容も難しくなります。社会に出て判決文よりも難しい文章を読むことは多くの人にとって少ないでしょう。しかし、だからこそ、あえて大学で裁判例にチャレンジしてみませんか?事前の「理論編」で、必要となる基礎知識について丁寧に解説するので、毎週の授業をしっかり受講すれば自然と理解できるようになります。
到達目標  国際取引の形態、当事者、リスクを理解し、国際取引に従事する上で必要となる法律的知識を身につけることを目標とします。
受講要件 特になし。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 授業の最初に小テストを行います。そのために事前学習が必要になります。事前学習の教材として、予習動画(30〜60分)を配信し(Microsoft Teamsを使って配信)、または、テキストの関連個所を指定します。
事後学習として、小テストの自分の回答および教員の解説を照らし合わせ、復習して下さい。
講義内容 1.ガイダンス
2.契約責任と不法行為責任(1)理論編:契約責任
3.契約責任と不法行為責任(2)理論編:不法行為責任
4.契約責任と不法行為責任(3)理論編:製造物責任
5.契約責任と不法行為責任(4)実践編:裁判例の検討(事実関係の整理)
6.契約責任と不法行為責任(5)実践編:裁判例の検討(判旨の整理)
7.前半のまとめ
8.国際売買契約(貿易)(1)理論編:為替手形、船荷証券、信用状
9.国際売買契約(貿易)(2)実践編:裁判例の検討
10.国際売買契約(貿易)(3)理論編:ウィーン売買条約
11.国際売買契約(貿易)(4)理論編:インコタームズ
12.国際売買契約(貿易)(5)実践編:裁判例の検討
13.国際運送契約(1)理論編:運送人の責任
14.国際運送契約(2)実践編:裁判例の検討
15.後半のまとめ
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 以下の方法により評価します。

授業中の小テスト:各8点(全10回)(最高得点80点)
授業中の発言:各1点(上限20点)

※小テストは紙ベースで実施します。パソコンの使用は不可です(CHATGPT対策)。紙媒体の教科書のみ持ち込み可とします。
※授業中に適宜質問を投げかけます。有意義な回答をしてくれた学生には各発言につき1点加点します。
教科書等 適宜指示します。
担当者プロフィール 出身:香川県丸亀市
略歴:中央大学法学部国際企業関係法学科卒業
   中央大学大学院法学研究科修士課程修了
   中央大学大学院法学研究科博士課程退学
   2017年3月博士号取得
   (博士号取得論文「国際債権契約における回避条項について. −ドイツ国際私法上の議論を手掛かりとして−」)
専門:国際取引法、国際会社法
現在の研究テーマ:Brexitと国際会社法
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 授業の質疑応答の中でフィードバックを行います。
アクティブ・ラーニング
キーワード 国際裁判管轄、準拠法、国際売買、ウィーン売買条約、インコタームズ、国際運送、船荷証券、為替手形、信用状
備考 授業中の小テストや発言により評価するので、欠席が多いと単位取得は難しくなります。