科目名 確率過程論
単位数 2.0
担当者 教授 田中輝雄
履修時期 前期(第1ターム)
履修対象 3年次
講義形態 講義
講義の目的 自然科学の諸分野には,確率的で不確実な現象やそれに付随する問題が多く存在する.そのような問題を解決するためには,決定論的な現象を扱う理論ではなく確率的な不規則現象を扱う理論が有効である.この授業を通して,時間とともに変化する偶然量を記述する数学的モデルである確率過程に関する基礎知識を修得する.さらに,確率過程のシステム工学への応用について理解する.
到達目標 ・確率空間上の確率変数列としての確率過程の定義を理解する.【知識2】
・強定常過程と弱定常過程の定義と意味を理解する.【知識2,技能1】
・相関関数,共分散行列,共分散定常過程のスペクトル等の定義と意味を理解し,解析学的理論展開を修得する.【知識2,技能1,思考力】
・マルコフ性,離散時間マルコフ過程,連続時間マルコフ過程等の定義と意味を理解する.【知識2,技能1】
・マルコフ過程の応用としての(部分観測)マルコフ決定過程のメカニズムを理解し,最適政策を求めることができる.【知識2】
・ブラウン運動の定義と基本的な性質を理解する.【知識2】
・ブラウン運動の形式的微分と白色雑音の関係を理解する.【知識2】
・ポアソン過程の定義と基本的な性質を理解する.【知識2】
・確率過程の応用として,フィルターとロボット工学等への応用に関心を持つ.【思考力,主体性】
受講要件 「解析学I」「解析学II」「線形代数学I」「線形代数学II」「確率統計」「情報基礎数学」「常微分方程式」を履修していることが望ましい.
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 授業で取り組んだ内容に関する課題を完成させる(学修時間:週120分).
講義内容 第1回:確率論からの準備,確率過程の必要性と有用性
第2回:確率過程の数学的表現
第3回:確率過程の分類
第4回:確率過程の周波数表現
第5回:離散時間マルコフ過程
第6回:マルコフ決定過程
第7回:部分観測マルコフ決定過程
第8回:連続時間マルコフ過程
第9回:ブラウン運動の定義
第10回:ブラウン運動の基本的な性質
第11回:白色雑音と有色雑音
第12回:ポアソン過程の定義
第13回:ポアソン過程の基本的な性質
第14回:確率過程の推定への応用
第15回:確率ロボティクスへの応用
定期試験:上記とは別に試験期間中に期末試験を実施する.
期末試験実施の有無 実施する
評価方法・基準 授業中の課題への取組み(20%)と期末試験(80%)で評価する.
教科書等 【教科書】特になし.資料を配付する.

【参考書】
廣田薫,生駒哲一,確率過程の数理,朝倉書店,2001
河田龍夫,定常確率過程,共立出版,1985
宮沢政清,確率と確率過程,近代科学社,1993
中川正雄,真壁利明,確率過程,培風館,2002
西尾眞喜子,樋口保成,確率過程入門,培風館,2006
大住晃,確率システム入門,朝倉書店,2002
小和田正,確率過程とその応用,実教出版,1983
担当者プロフィール 専門は確率過程論・計画数学です. 確率制御理論の研究に取り組んでいます. (居室: 情報科学部棟8階830室)

【学習指導・支援体制】
授業内容や宿題などに関する学生の個別学習相談を,随時受け付けます.授業や会議あるいは出張などで不在や多忙のことがあるので,メールで面会の予約をしてください.
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 各回の課題, 期末試験について, 後日講評を行う.
アクティブ・ラーニング 振り返り
キーワード 確率過程,定常過程,マルコフ過程,マルコフ決定過程,ブラウン運動,ポアソン過程
備考 【教職】高一種(数学)