科目名 医用情報科学実験T
単位数 1.5
担当者 医用情報科学専攻 准教授 長谷川 義大(代表教員),准教授 福田 浩士,講師 香田 次郎
履修時期 前期(第1ターム)
履修対象 3年次
講義形態 実験
講義の目的 医用情報科学科では,生体システム(人体,細胞など)を計測・解析する能力とそこで得られた情報を医療・基礎研究等における工学システム(コンピュータ,機械,電子機器など)で活用する能力が求められる.医用情報科学実験Iでは,生体システムが有する情報を計測するためのハードウェアの基礎を習得するために,光電式脈波計の作製を通して,ノイズに埋もれた微弱な生体信号を検出する回路について学ぶ.
到達目標 実験課題をよく理解し,自主的に実験に取り組むことができる.【知識1】【主体性】
医療機器で用いられている以下の技術の理論を理解し,実装できる.【知識2】【技能1】【思考力・判断力】
・オペアンプ基礎回路(反転増幅回路,非反転増幅回路,ボルテージフォロワ)
・オペアンプ応用回路(加算回路,差動増幅回路,計装アンプ,オフセット調整回路,整流回路,包絡線復調回路,フィルタ回路)
・光電式脈波計で用いられる,生体の情報を光信号として検出する技術
得られた結果を図や表にまとめ,考察を論理的に記述することができる.【知識2】【技能1】【思考力・判断力】【表現力】
受講要件 回路工学基礎IIおよび回路工学応用の単位を取得していることが望ましい.
履修取消の可否
履修取消不可の理由 必修科目のため.
事前・事後学修 【事前学修】
(1) 実験テキストを読んでおく.
(2) 実験原理について理解できた部分と理解できていない部分をノートに整理しておく.
(3) 実験方法をノートに整理し,実験内容を把握する.
(4) 事前課題を提出する.

【事後学修】
(1) 実験原理について理解できていない部分について文献などを参考に理解する.
(2) 実験データを整理する.
(3) 実験原理をふまえて実験結果について考察する.
(4) レポート等にまとめる.
講義内容 (1) 電気回路基礎1
  オームの法則
(2) 電気回路基礎2
  過渡現象,パッシブフィルタ
(3) オペアンプ基礎回路
  ボルテージフォロワ,反転増幅回路
(4) オペアンプ応用回路1
  加算回路,オフセット調整回路
(5) オペアンプ応用回路2
  アクティブフィルタ,積分回路,微分回路
(6) オペアンプ応用回路3
  整流回路,包絡線復調回路,定電流回路
(7) 光電式脈波計の作製1
  LED点灯回路,光検出回路,脈波検出回路
(8) 光電式脈波計の作製2,脈波の計測
  脈波検出回路
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 受講態度(10%),課題プリント・レポート(90%)により総合的に判断し,80点以上を優,70〜79点を良,60〜69点を可,60点未満を不可とする.90点以上の学生の中で特に優秀であると全教員が認めた学生は秀とする.
なお,原則として,全出席および全提出物の受理を単位認定の条件とする.
教科書等 実験の手引書を配付する.
生体計測の入門書として以下の参考書を勧める.
牧川 方昭ら著,「ヒト身体状態の計測技術−人に優しい製品開発のための日常計測 -」 コロナ社 2010 (ISBN 978-4-339-07226-6)
以下のような作文技術に関する参考書を熟読した上でレポートを作成すること.
木下是雄著 「理科系の作文技術」中公新書 1981 (ISBN 978-4121006240)
野中謙一郎他著 「技術レポート作成と発表の基礎技法(改訂版)」 コロナ社 2018 (ISBN 978-4-339-07815-2)
担当者プロフィール 長谷川: マイクロシステム工学を専攻,情報科学部棟420研究室
福田: 生体医工学を専攻,情報科学部棟560研究室
香田: 生物工学を専攻,情報科学部棟632研究室

【学生の学習指導・支援体制について】
実験内容やレポートなどに関する,学生の個別学習相談を随時受け付けている.
教員の所在は,学内サイネージ等に掲示されているので,確認の上,来訪のこと.事前にメール等でアポイントメントを取っておくと良い.
講義に関連する実務経験 長谷川:2008年4月〜2015年3月 キヤノン株式会社に勤務(医療デバイスの開発に従事)
課題や試験に対するフィードバック 提出したレポート等については,後日状況について連絡する.
特に,提出したレポート等に不備がある場合はそれを指摘し,再提出を課す.
アクティブ・ラーニング 振り返り(ミニッツペーパー),調査活動
キーワード 生体信号,電気・電子回路,光電式脈波計
備考 医用情報科学実験で習得する技術は,医用の分野のみならず,幅広い分野で応用されている技術である.卒業研究ではもちろんのこと,就職してからも役に立つので,積極的に取り組むこと.