科目名 都市経済学T
単位数 2.0
担当者 教授 寺田 英子
履修時期 前期
履修対象 博士前期課程1、2年
講義形態 講義
講義の目的 この講義では,はじめにミクロ経済学で想定されている消費者の行動について基本的な知識を学びます.また,都市で生じている社会問題をとりあげ,実社会でどのような解決が考えられるのか,公共経済学の視点から考えます.
到達目標  日本社会は少子化,債務残高の急増,基礎構造施設の老朽化,地方都市の中心部やインナーシティの衰退など,多くの難しい政策課題に直面しています.本講義では,公共経済学の視点から,市場経済ではこれらの政策課題が解決できない場合の政府の政策をとりあげます.どのような場合に,どのような政策が望ましいのか,その理由は何かということを考え,公共経済学的な考え方の特徴を学びます.
受講要件  学部でミクロ経済学,経済政策論,財政学を履修していることが受講要件です.ミクロ経済学を履修したことがない方は受講をお断りします.
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修  発表者は教科書の担当部分の内容まとめをして,配布資料を作成して下さい.
講義内容 講義の前半(第2回〜第7回)では経済学の考え方の特徴を大まかにつかむことを目的としています.
講義の後半(第8回〜第15回)では初歩的な都市経済学の教科書を輪読します.

第1回 イントロダクション
第2回〜第7回 この期間は一般読者向けに書かれた行動経済学の一般読者向けに書かれた啓蒙書を読み,経済学が想定している人間の合理的な行動とは何かを考えます.
教科書:マッテオ・モッテルリーニ著・泉 典子訳『経済は感情で動く』紀伊国屋書店, 2011年.
第8回〜第15回 この期間は日本の都市で社会問題となったことを経済学の視点に立って考えるための教科書を輪読します.

履修者の関心に応じて,これらの教科書で引用されている論文や資料をとりあげます.
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 教科書の要約作成(80%),文献調査・発表・討論(20%)をあわせて評価します.
教科書等 マッテオ・モッテルリーニ著・泉 典子訳『経済は感情で動く』紀伊国屋書店, 2011年.
奥野信宏・八木 匡・小川 光『公共経済学で日本を考える』中央経済社,2017年.
J. B. Stevens, The Economics of Collective Choice, Westview, 1993.
必要に応じて資料を配布します.
担当者プロフィール 研究者としての私の特徴
@ 分析ツールは公共選択論で,現実の政策に関心がありますが、その中身というよりは,
制度的な意思決定の仕組みや経済的なインセンティブに興味があります.
A 市場メカニズムにまかせるほうが,いろいろと無駄は生じるものの,計画経済的な状況
よりもはるかにマシだ,と考えています.
私の研究内容
@ イングランドの地方部における公共交通と社会的包摂の研究
A 公共交通のアクセシビリティに関する日とイングランドの比較研究
B 日本の国際拠点港湾の民営化に関する研究
講義に関連する実務経験 1987年〜1998年まで(株)PHP総合研究所というシンクタンクで研究員をしていました.男女雇用機会均等法(1985年制定)が施行されて2年目の総合職として入社しましたが、大学院での研究内容(公共交通、港湾物流)を活かすことのできる仕事でした.外部資金の獲得も担当業務の一部だったので、研究企画をコンペに出して助成金を獲得し,大学教員の研究作業をコーディネートして成果を出すという経験が今でも役立っています.
課題や試験に対するフィードバック 教科書等の要約(80%),発表・討論(20%)に関する質問に回答します.文献調査の方法について必要に応じてアドバイスをします.
アクティブ・ラーニング
キーワード 公共経済学,市場の失敗,政策課題.
備考 履修者が1名の場合は受講をお断りすることがあります.