科目名 フランス文学・文化論U
単位数 2.0
担当者 国際学部 教授 大場 静枝
履修時期 後期
履修対象 博士前期課程1、2年
講義形態 講義
講義の目的 本授業では、本授業では、「フランス文学・文化論I」を踏まえて、ナショナリズム文学の作品の分析を行います。文学作品の分析を通して、文学と民族運動の関係性について考察します。具体的には、フランス・ブルターニュ地方で起こったブルターニュ文学・ブルトン語文学の復興を事例に、この地域の文学作品を読解することで、地域の文芸運動と言語文化を中心とする民族運動の諸相を理解する。「フランス文学・文化論I」と同様に、ナショナリズム文学作品の分析を通して、文学と地域の言語文化の関係性についても考察します。その際、日本語の文献のほか、受講生と相談の上、フランス語文献での読解も行います。
到達目標 本授業の到達目標は以下の通りです。
・授業を通して、多言語・多文化共生の思想について、理解を深める。
・19世紀後半から20世紀初頭におけるナショナリズム文学作品の読解を通して、民族主義や民族のアイデンティティの問題を理解する。
・文献を読み解き、それを基に論理的に考え、文章化し、発表する能力を身につける。
受講要件 「フランス文学・文化論I」を受講していることが望ましい。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 ・各自の研究テーマに関して、学術雑誌の記事、文献などを読み、要点をまとめる。
(学修時間:週120分)
・授業で取り組んだテーマに関する文献を読み、要約をし、自分の意見をまとめる。
(学修時間:週120分)
講義内容 授業は、フランス文学・文化論I引き続き、文献の精読、発表、討論を組み合わせて行います。精読する文献については、受講生と相談の上、決定します。その際、日本語の文献のほか、フランス語の文献の読解も行います。
第1回:ガイダンス(授業の進め方、文学作品の選定)
第2回:前ロマン主義(1):『オシアン』とオシアニズム
第3回:『オシアン』に関連する作品(例:ヘルダー『ヘルダー民謡集』や『オシアン論』)の分析、発表、討論
第4回:前ロマン主義に関連する作品(例:スタール夫人『文学論』)の分析、発表、討論
第5回:ロマン主義(1): ロマン主義と自由主義
第6回:ロマン主義(2):エルナニ事件
第7回:ロマン主義(3):ロマン主義に関連する作品(例:ラマルティーヌ『ジョスラン』)の分析、発表、討論
第8回:民族主義(1):ブルターニュにおける民族主義文学の誕生
第9回:民族主義(2): 『バルザス=ブレイス』とバルザス=ブレイス論争
第10回:民族主義(3):ラ・ヴィルマルケの『バルザス=ブレイス』の分析、発表、討論
第11回:「エムザオ」と文学(1):ブルターニュ民族運動「エムザオ」とは?
第12回:「エムザオ」と文学(2): 地方分権主義者の詩人ブレイモール生涯
第13回:「エムザオ」と文学(3): ブレイモールの作品(例:『ひざまづいて』)の分析、発表、討論
第14回:「エムザオ」と文学(4):分離独立主義者の詩人カミーユ・ル・メルシエ・デルム
第15回:「エムザオ」と文学(5):ル・メルシエ・デルムの作品(例:『アイルランドよ、永遠なれ』や『西国の血』)の分析、発表、討論
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 期末レポート:60%(内容の理解、論述の適切さなどを総合的に判断する)
平常点:40%(発表と討論の内容を総合的に判断する)
教科書等 授業内で適宜指示します。
担当者プロフィール 専門はフランス18世紀文学、フランス・ブルターニュ地方をフィールドとした地域文化研究。著書:『抵抗のブルターニュ』(小鳥遊書房)、『周縁に目を凝らす』(共著、彩流社)、『近代フランス小説の誕生』(共著、水声社)、『祈りと再生のコスモロジー』(共著、成文堂)、『ヴォルテールを学ぶ人のために』(共著、世界思想社)など。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 後日、レポートを講評します。
アクティブ・ラーニング プレゼンテーション、ディスカッション
キーワード フランス、民族、ナショナリズム、ナショナリズム文学、言語政策、言語復興
備考