科目名 アナログ素子・回路特論
単位数 2.0
担当者 システム工学専攻 准教授 福島 勝,システム工学専攻 助教 辻 勝弘
履修時期 後期
履修対象 1, 2 年次
講義形態 講義
講義の目的 電気・電子回路を構成する素子の応答を物性の観点から調べてみるとともに、これらの素子からなるシステムである電気・電子回路の動作原理を素子の物性から眺めてみる。
なお、この講義では、対象を抵抗とコンデンサー、および、ダイオード、バイポーラトランジスター、FETの2つのグループに絞り、その振る舞いを、それぞれ、古典論、および、量子論(バンド構造)で取り扱う(電磁気学自身であるコイルの考察は、時間の関係上、割愛する)。このため、まず、線形応答理論に基づいた微分方程式の解法や原子・分子の電子軌道からバンド構造への展開などを武器にして、素子動作の解析を進める。引き続き、学んだ素子の応答原理を基に、センサ信号処理に必要な積分回路や差動増幅回路,メカトロ機器に必要なモーター駆動回路など、いくつかの回路の動作原理の理解へ発展させ、個々の構成部品の性質から電子回路への展開を体験していく。(授業形態:講義)
到達目標 (1) 自然に関わる幅広い関心と知識、(2) モノ作りに関わる材料の選定などの判断力、取り扱い方などに関する体系的知識や技術、および、(3) 真理探究への主体的な課題発見・分析・解決能力の習得を到達目標とする。
具体的には、微分方程式の解法を基盤に据え、物理(主に、力学と電磁気学)や化学で学んだ原子・分子や誘電体の構造などの知識と、電気・電子回路で学んだ回路の知識とを橋渡しして、素子の応答原理や回路の振る舞いを、より幅広い見地から俯瞰できる素養が身に付くことを目標とする。特に、一見まるで関係ない物理・化学現象が、同じ微分方程式で理解できることや、電子素子で量子的現象を発現していることが認識・利用(体験)できることなど、幅広い視野を身に付けてもらうことを目標とする。さらに、これにより,システムの構成モジュールである電子回路の理解が深まることを目標とする。
受講要件 特になし。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 講義時間以外でも、講義内容を頭の隅に置いておいて、身近で起こる現象とその内容との関連について考えて欲しい。また、講義内容に関連しているのではないか、と思われる現象に気付いたら、講義中でも、質問してくれて構わない。
講義内容 1 抵抗の原理と動作
2 コンデンサー
 2-1 誘電緩和
 2-2 ステップ応答
 2-3 正弦波応答
 2-4 ブロッホ方程式とその緩和過程
3 半導体とバンド構造
4 ダイオード
 4-1 バンド構造と pn 接合
 4-2 動作 ( 回路 )
5 トランジスター
 5-1 npn 接合と pnp 接合
 5-2 動作原理
 5-3 増幅回路
6 FET
 6-1 MOS 接合
 6-2 動作原理
 6-3 動作 ( 回路 )
 6-4 バイポーラートランジスターと FET の違い
7 差動増幅回路
8 各種の回路
毎回、講義の最後に、その講義で最も重要な項目について、簡単な質問を行う。
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 毎講義終了時の課題 (45%)、および、各内容毎の課題への取り組み (30%)、講義内容の節目のレポート (25%) などで総合的に評価する。なお、学則に順じ、出席回数が3分の2以上の受講者のみ評価する。
教科書等 教科書は特に指定しない。 講義内容に応じて、適宜、資料を配布したり、参考書などを紹介する。

参考書 :
 小出昭一郎、「物理学」、裳華房 (学部講義「物理学」の教科書)
 藤本淳夫、「常微分方程式」、裳華房 (学部講義「常微分方程式」の教科書)
担当者プロフィール 福島 勝 所属 : 情報科学研究科、システム工学専攻。
専門 : 物理化学。特に、簡単な分子の孤立状態(外界とエネルギー的に孤立した、という意)における量子的振る舞いについて興味をもっており、分子分光という実験的手法により得られた実験結果を基に、理論的、および、数値計算(シミュレーション)的考察とも組み合わせて、この"分子の振る舞い"に関する研究に取り組んでいる。

辻 勝弘 所属:情報科学研究科 システム工学専攻.
専門:機能デバイス.特に,半導体デバイスのモデリングとそれに伴うパラメータ抽出,ならびに計測評価技術に関する研究を行っている.

「学生の学習指導・支援体制について」
授業内容や宿題などに関する、学生の個別学習相談を随時受け付けています。
教員の所在は、学内サイネージ等に掲示されていますので、確認の上、研究室を訪ねてみてください。
講義に関連する実務経験 【実務経験(福島勝):1989年4月〜1997年3月 三菱重工業株式会社基盤技術研究所に勤務(レーザー分光およびその装置の開発に従事)】
課題や試験に対するフィードバック 各講義終了時に行う提出課題、および、講義内容が大きく変わる節目でのまとめのレポートは、後日、講評する。
講義内容が大きく変わる節目に、まとめのレポートを提出してもらう。
アクティブ・ラーニング
キーワード 電気・電子回路、物性、物理、化学、微分方程式
備考