科目名 美学特講B
単位数 2.0
担当者 石谷治寛
履修時期 後期
履修対象 1・2年次
講義形態 演習
講義の目的 近現代の芸術は、社会や個、メディア、都市の発展のなかで変化してきた。美意識や感性は、その中で変化し、造形作家は、その特質を捉えつつ、創造活動のあり方に対して批判的に検討を加えてきた。こうした思索の深化と批判精神の練成に向けて、美学・哲学や芸術理論やヴィジュアル・カルチャーについて考察する。
空間のあり方について分析する視点を持ちながら、展示の歴史を学ぶ。都市のパブリック空間の中での展示の方法について考える。まずは国際芸術展における場所に即した多様な展示方法について触れ、身近な空間を地図化しリサーチする方法を学ぶ。自分の専門のジャンルの展示空間について調べたうえで、場所に即した将来の架空の展示プランを考えA1ポスターにして発表する。
到達目標 芸術の創作と研究を追求するための美学的問題を理解し、受講生自らの研究の立場から「思考力・判断力・表現力」を深めることができるようになる。文献を読みながらフィールド調査方法、研究計画に必要な語彙力や考え方を身につける。
受講要件 自己の表現を現代の社会や都市のあり方と結びつけ議論し、積極的にアトリエの外で調査・発表する意欲のあること。
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 美学・哲学的な問題を、自らの創造における探究との関連で考えて、他の文献等で思索を深める。参加者は学期中に発表を担当し、その話題について議論する。発表内容と議論への参加度で成績を評価する。年度末に構想をポスター形式で発表する。
講義内容 1. イントロダクション 国際芸術展と場所に即した展示(ミュンスター彫刻プロジェクトから)
2. 公共空間の芸術/フィールドワーク
3. 都市をマッピングする1 ドクメンタの試み
4.都市をマッピングする2 マニフェスタによる公共介入
5. 都市をマッピングする3 広島を歩く
6. 都市をマッピングする4 ブレーンストーミングと発表
7. 展示空間の歴史と文化1ー礼拝価値から展示価値へ 
8. 展示空間の歴史と文化2ー万国博覧会、フェア、ビエンナーレ
9. 展示空間の歴史と文化3ー店舗、オフィス、ホテル、病院
10. 展示空間の歴史と文化4ー シネマと映像ディスプレイ
11.展示空間の歴史と文化5ー図書館とアーカイブ
12.展示空間の歴史と文化6ー港、駅、空港
13. 提案についてポスター発表1
14. 提案についてポスター発表2
15. 議論の総括
※授業の順序は参加者の研究テーマに応じて変更することがある。
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 口頭発表および議論への参加50% プロポーザルのポスター発表50%
教科書等 基本的な用語や調査方法の理解のための参考書として、佐藤郁哉『フィールドワーク』(新曜社)および『認知資本主義 21世紀のポリティカルエコノミー』(ナカニシヤ出版)を参照する。
より専門的な著作として、パブリック・アートに関してはカトリーヌ・グルー『都市空間の芸術−パブリックアートの現在』、参加芸術についてはクレア・ビショップ『人工地獄』、記念碑については香川檀『想起のかたち』などを参照にする。
20世紀美術のさまざまなテーマに関しては、『1900年以後の芸術』(東京書籍)をベースにする。
担当者プロフィール 近代美学と視覚文化に関する研究から、外傷記憶を扱う現代アート、メディア芸術の保存とアーカイブなどを考察。美術手帖などで批評の執筆やインタビュー、展示企画なども行う。著書に『幻視とレアリスム―クールベからピサロへ フランス絵画の再考』(人文書院)。共著に『アートセラピー再考』(平凡社)、共訳にクレーリー『知覚の宙吊り』(平凡社)、『24/7眠らない社会』(NTT出版)など。
講義に関連する実務経験
課題や試験に対するフィードバック 授業中にコメントないしTeamsを活用する。
アクティブ・ラーニング
キーワード 美学、感性論、芸術理論、美術史、都市論、エコロジー、映像インスタレーション、公共空間
備考