科目名 油絵材料技法演習
単位数 2.0
担当者 教授 森永 昌司 非常勤講師 有田 巧
履修時期 前期
履修対象 修士1年次
講義形態 演習
講義の目的 絵画の基本についての講義である。「絵画の心得」から、「見る」と「描く」から導き出される「絵画の重層構造」、さらに「明暗法」、「遠近法」、「顔料、媒剤(メディウム)、テンペラ絵具、油絵具」などを、実習をも加える。
到達目標 絵画制作を通して、「見る眼の寸法を拵える」修練の重要性を認識し、「物質としての絵画」としての絵画材料学、絵画技術学の基本を修得する。
受講要件 造形芸術専攻油絵研究室所属
履修取消の可否
履修取消不可の理由
事前・事後学修 前期の絵画制作について、日記形式で記す。その場合、支持体、地塗り、絵具層に使用した顔料と媒剤を記録する。その際、疑問に思ったこと、わからなかったこと、さらに絵画技術の専門用語について、自分なりに文章化してみる。さらに「みずからの眼で対象物を見て描く自己表現」について小論を記す。
講義内容 @「絵画の心得」:歴代名畫記の「畫の六法」の「気韻生動、骨法用筆、応物象形、随類賦彩、経営位置、伝模移写」を、西洋画と関連づけて述べる。実技:素描A-1(植物を題材に、水彩紙に鉛筆、テンペラ、油絵具を使用)
A「見ること」「描くこと」:アリストテレスの「見ることの構造」と、ヤン・ファン・エイクの「描くことの構造」の対応関係を述べる。実技:素描A-2(下素描、陰影描写、地透層、白色浮出、彩色の過程を順守)
B遠近法:比例(プロポーション)、構図(コンポジション)としての1点、2点透視図法について述べる。みずか視高と視距離を設定し、作図する。実技:素描B-1(鉛筆、定規で、2点透視図法を用い、輪郭線素描+陰影)
C明暗法:ニュートンの光学と、顔料、媒剤の屈折率:光の吸収と反射によって、さまざまな色が見えるとは?油絵具のID番号、透明性・被覆性を述べる。実技:素描C-1(透層+掠層による諧調(グラデーション)見本を作成)
D「黒田清輝の素描と絵画」+「藤田嗣治の絵画技術」:日本絵画の行方を探る。レポート:みずからの絵画を今後どのように制作するのか。
※全30コマ
期末試験実施の有無 実施しない
評価方法・基準 受講要件の「制作記録」、「みずからの表現とは?」、本講義での「素描A,B,C」「レポート」を提出。提出されたものと、個人面接を加え、総合的に評価する。
教科書等 適宜、講義資料を配布する。参考図書となる佐藤一郎の著書、訳書を列挙する。@「デルナー:絵画技術体系」佐藤訳(美術出版社、1980)A「ヴェールテ:絵画技術全書」佐藤他訳(美術出版社、1993)B「テンペラ画の実技」佐藤監訳(三好企画、2005)C「絵画制作入門」佐藤著(東京藝術大学出版会、2014)
担当者プロフィール 有田巧(非常勤講師)
1978年 東京造形大学卒業
1980年 東京藝術大学大学院修了
1988年 イタリア留学(第3回小山敬三美術振興財団海外研修)
    ローマ ジュリアノ・バルディ氏の工房にて絵画修復、古典技法を学ぶ
2000年 第76回白日展 内閣総理大臣賞受賞
2003年 マケドニア・ストゥルミツァ国際造形芸術祭 招待参加
    イタリア・ファーチェン 「サン・フランチェスコの家」にフレスコ画を制作
2005年 モルドバ共和国(コムラト)国際アートシンポジウムに参加
    白日会会員(常任委員)、明治美術学会会員、崇城大学名誉教授
講義に関連する実務経験 東京藝術大学、金沢美術工芸大学において、「絵画材料学、絵画技術学、絵画実技」を教授していた。
課題や試験に対するフィードバック 受講要件の「制作記録」、「みずからの表現とは?」については、授業開始直前にメールで提出。授業最終日に、素描A,B,C」「レポート」を直接授業時に提出。
アクティブ・ラーニング PBL、プレゼンテーション
キーワード 絵画材料学、絵画技術学、絵画実技、油画、混合技法、西欧絵画
備考